木村 有太子 先生

肝斑治療における、トラネキサム酸の効果

順天堂大学医学部皮膚科学講座
木村 有太子 先生

肝斑は、紫外線やスキンケアのクセなどで再発する可能性が高い炎症性のシミで、医師の治療計画のもと、肌の状態にあわせた複合的な治療が必要です。
今回は、再発予防におけるトラネキサム酸の効果と肝斑の治療方法についてご紹介します。

肝斑とシミの違い

肝斑は、30代~50代の女性に多く見られ、特定の部位に左右対称で現れます。一般的なシミは左右非対称で色素斑の境界がはっきりしていますが、肝斑の場合、境界線があいまいなのが特徴です。紫外線量が増える春から夏にかけて濃くなりやすく、経口避妊薬(ピル)の服用、女性ホルモン、肌をこするクセなども肝斑の原因になります。

肝斑治療の方法

肝斑は、刺激で悪化しやすい炎症性のシミです。肝斑の改善には、専門医の正しい診断と適切な治療計画のもと、根気よく治療を行っていく必要があります。

①悪化因子を取り除く、スキンケア

肝斑の主な悪化因子は紫外線と刺激です。紫外線対策を徹底し、ゴシゴシ洗顔を止めて、肌にやさしく触れながらお手入れをすることで、肝斑が薄くなる人もいます。

②トラネキサム酸の内服(服用の目安:8週間)

トラネキサム酸の内服には服用の目安がありますが、期間終了後の肌の状態、服用中止による悪化を不安視する方の意向など、医師の判断で服用を継続する場合もあります。トラネキサム酸の内服は、肝斑治療の第一段階ですが、薬による副作用を気にする方には、トラネキサム酸配合の医薬部外品で肌あれを防止します。

副作用が起こる可能性がある人

•閉経している •ピルを服用 •血栓ができやすい

③トラネキサム酸の内服+医薬部外品

肝斑は、頬杖をついてシミを触るだけでも増悪します。わずかな刺激の積み重ねで悪化する肌を守るという意味でも、内服に加えてトラネキサム酸配合の医薬部外品等で、肝斑の原因となるメラニンの生成を抑えることは非常に重要です。

④ケミカルピーリングやエレクトロポレーション(電気穿孔法)

内服と医薬部外品でのスキンケアを行ったうえで、メラニンの排出を促す「ケミカルピーリング」や様々な美容成分の経皮導入を行う「エレクトロポレーション」という第二の選択肢もあります。
※乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人にはおすすめできません。

⑤レーザートーニング

低出力で広範囲に照射することで、徐々にメラニンを減らし皮膚表面の色調を改善する治療法。脱色素「白斑」や肝斑増悪の報告があり、副作用に注意しながら照射します。

内服薬の休薬期間は、適切なスキンケア方法で肝斑の再発を予防

内服で肝斑が改善しても、日焼け止めの塗り直しをせずに日中過ごしたことで、その日の夜にはシミが濃くなってしまうことも。肝斑の再発を防ぐためにも、休薬期間には紫外線対策や摩擦に注意するといった適切なスキンケアを徹底しましょう。

マスク肝斑にも注意

花粉の時期は、マスクの擦れが原因で肝斑が濃くなることもあります。
マスクはシルクなど柔らかな素材のものを使用しましょう。

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