乾燥肌ってどんな状態なの?かゆみとの関係は?乾燥肌にまつわる疑問から、健康な肌を保つためのくらしのヒント、乾燥肌のためのボディケア方法についてお話していただきました。
生後5~6ヵ月頃から思春期前の子供は、皮脂が少なく乾燥しがちです。
30代後半から皮脂の分泌が減少し、乾燥しやすくなります。
加齢によって発汗量が減り、皮膚も薄くなるので非常に乾燥しがちです。
ぜんそく、花粉症、結膜炎、じんましん、アトピー性皮膚炎などの病気がある人。
肌の表面には角質層という細胞の層があり、その外側を皮脂がおおっています。角質層が水分を保ち、皮脂が膜をつくって肌のうるおいを保ってくれています。また、角質層は、外からの刺激を防ぐバリアとして働いています。乾燥肌とは、角質層の水分が少なくなったり、皮脂の分泌が低下することによって皮膚の表面が乾燥した状態をいいます。
乾燥肌を放っておくと角質層がはがれてバリア機能が低下します。そこにアレルゲンや刺激物質が入り込んでかゆみを引き起こすのです。一度かゆみを感じてひっかいてしまうとしっしんができ、さらにかゆみのためにひっかくという、かゆみの悪循環に陥ってしまいます。乾燥型のしっしんを治すには、薬物療法が必要になります。
乾燥肌が悪化して皮膚疾患になる前に、正しい保湿ケアで予防することが大切なのです。
皮膚への刺激に対して、肥満細胞から放出されるヒスタミンをはじめ、皮膚のいろいろな細胞で作られるかゆみ物質が、神経線維を介してかゆみとして脳に伝えられます。乾燥肌に限らず、しっしんの場合神経線維が表皮内に伸びてくるので、もっとかゆみを伝えやすくなります。これらが重なると連鎖反応が起こり、かゆみの悪循環に陥ってしまいます。
天然保湿因子、セラミド、皮脂という3つの保湿因子のバランスが崩れると乾燥肌になります。
水分をおぎなう
角質細胞の内部に水分をたっぷり補給します。
主にアミノ酸系の成分があります。
水分をたもつ
水分保持作用が高く、角質細胞の間を埋めてうるおいを保ってくれます。
水分をにがさない
皮脂膜を強化し、水分の蒸発を防ぎます。
皮脂類似成分にはスクワランなどがあります。
●エアコンは控えめにして室温もこまめに調整しましょう。冬は加湿器の併用も効果的です。
●保湿剤や日焼け止めなど季節に合わせた日常のスキンケアを習慣づけましょう。
●細胞が再生される夜間に眠るのは理にかなっています。夜更かしをせず、睡眠時間も十分に取りましょう。
●過度のダイエットは避けバランスの良い食生活を。
綿のタオルなど、アレルギー反応を起こしにくく、柔らかい素材のものを選びましょう。手のひらでやさしくなでるだけでもOKです。からだを拭くときも強くこすらないでくださいね。しっしんや赤みがひどいときは皮膚科専門医に相談しましょう。
汗や皮膚表面の汚れは肌への刺激になるのできちんと落とすことが大切です。ただし、ナイロンタオルやアカスリタオルなどで強くこするのは禁物。必要以上に皮脂を落とすと、肌はもっと乾燥してしまいます。
石けん、ボディソープの選び方
スクラブが入ったものや爽快感のあるものなど、石けんやボディソープにはさまざまな種類がありますが、乾燥肌の人はできるだけ低刺激性のものを選ぶようにしましょう。皮脂をおとしすぎないように洗浄力がコントロールされた洗浄剤がベストです。
すすぎも丁寧に
石けんなどの洗浄成分が肌に残っていると、かゆみや炎症の原因になってしまいます。使い心地や泡立ちなども気になるところですが、肌に成分が残りにくく、すすぎ落ちがよい石けんを選ぶことも重要なポイントです。
バスタブにゆっくりつかると、血行がよくなり、全身をリラックスさせる効果があります。また皮膚の汚れも落ちやすくなり、入浴後は保湿剤が肌に浸透しやすくなります。ただしお湯の温度は38度~40度、つかるのは10分程度で、からだを温めすぎないことが大切です。
熱いお湯や長風呂は体温を上げてしまうため、かゆみを増したり大切な皮脂を落としすぎてしまいます。入浴剤を選ぶときは温熱効果の高すぎるものや、肌を乾燥させる成分が配合されているものは避けるようにしましょう。
保湿系入浴剤のメリット
保湿系入浴剤を使うと、つかるだけで全身の皮膚の表面に被膜を作り入浴後の乾燥を防いでくれます。背中に手が届きにくい高齢者や保湿剤を塗るのを嫌がるこどもにも、毎日簡単にスキンケアできますね。
お風呂上がりは肌細胞が水分を含んで柔らかくなり、浸透・吸収力が高まっているので保湿に最適なタイミングです。肌のうるおいを保つバリアをつくるために、油性成分配合の保湿剤をしっかり塗ることが大切です。
保湿剤にもさまざまな種類がありますが、刺激のある成分は避けたいものです。肌の乾燥が気になる人には、被膜を作って水分の蒸発を防ぐ油性成分を含むタイプがおすすめです。肌にやさしくなじみにやすい成分を選び、塗り忘れに注意しましょう。
すでに皮膚科を受診している人は
赤くなったり、ひっかき傷でジクジクしてしっしんなどが起きている場合は皮膚科を受診しましょう。例えばアトピー性皮膚炎でステロイドなどの外用剤を処方されている場合は、先にその薬剤を塗る必要があります。状態に応じて保湿剤を使用する際は、皮膚科専門医に相談しましょう。
特に乾燥を感じる部分には
油性成分がバランスよく配合された保湿剤や軟膏をたっぷりと塗ってください。おやすみ前のケアも保湿状態が長時間持続できるので効果的です。
カサカサの肌には水分が不足していますので、上手に入浴して乾燥を防ぎましょう。
皮脂に近い成分を配合した入浴剤を使うと、洗浄によって失われた皮脂を補うことができます。荒れ症、乾燥肌、アトピー性皮膚炎、お年寄りの皮脂欠乏性皮膚炎などでは一般的に皮膚の抵抗力が弱まっていますので、低刺激性のものを選ぶことが大切です。
使ってもよいか迷うときは医師に相談されるとよいでしょう。
かゆみががまんできずにかいてしまうと、皮膚の状態は悪くなります。からだが温まると、かゆみを感じやすくなることが分かっていますので、熱いお風呂に入ったり、温熱効果の高い入浴剤を使うことは避けましょう。かゆい部分は冷やした方がかゆみを感じにくくなります。
皮膚が汚れたり菌が増えたりするとしっしんが悪化しますので、肌を清潔にするために毎日入浴するのはいいことです。問題は温泉に入ることですが、かゆみを感じやすくなる温熱成分や皮膚を乾燥させる成分の入った温泉は避けた方がよいでしょう。
顔を洗ったあと化粧水や乳液をつけるように、からだを洗ったあともスキンケアが必要です。湯あがりのやわらかく吸収力のある肌に、洗い流されてしまった皮脂の役割をする保湿剤を塗って、水分の蒸発を防ぎましょう。しっしんや炎症のような症状のある人は、まず必要な外用薬を塗ることが大切です。これを忘れると病気が悪くなってしまいます。
外用薬は病気の症状に応じて処方されるものなので、治療が必要な場所に決められた用法・用量で使用します。一方、スキンケア製品は健康な肌を保つためのものですから、いつでもどこにでも使うことができます。
薬の効果をきちんと得るには適量を正しく用いることが大切です。人差し指の先から第一関節までの長さに出した量(1FTU)で大人の手のひら2枚分の広さがひとつの目安です。ベトつきが気になるようでしたら、手のひらで軽く押さえるようにしてなじませましょう。
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