西岡 和恵 先生

ヘアカラーによる頭皮のかぶれに注意!
アレルギーの原因や対処方法について

ジョイ皮ふ科クリニック
院長
西岡 和恵 先生

ヘアカラーは若々しく装い、豊かな人生を送るために多くの人が使用しています。女性だけでなく男性の使用者も多く、高齢化社会となり現代生活の必需品となっている面があります。しかしヘアカラーによるアレルギー性のかぶれは多く、消費者庁も文書をだして注意喚起をしています。長年安全に使用していた方でも突然体質が変わりかぶれるようになることがあります。またヘアカラーのアレルギーを疑いながらも整容面を優先して染毛を継続し悪化させてしまう方もいます。
一方で、ヘアカラーのアレルギーでありながら頭部の症状に気づかぬままに顔面や体の湿疹に悩んでおられる方もいます。便利で役立つ一方で使用による健康障害の可能性もあるヘアカラーについて、注意点などを説明します。

ヘアカラー
 

へアカラーが頭皮に与える影響とは

頭髪を染める製品には医薬部外品に属しヘアカラーや白髪染めと呼ばれる永久染毛剤と、化粧品に属する染毛料に大きく分類され、染毛料には半永久染毛料、一時染毛料が含まれます()。
これらの中で永久染毛剤に分類される酸化染毛剤は、一般に最も多く使用されていますが、使用を繰り返すうちにアレルギー反応を起こし、生え際、頭皮、耳介などのかゆみや赤み、ぶつぶつなどの症状を起こします。一旦アレルギーになると容易にそのアレルギー症状はなくならず、使用するたびに症状が悪化し顔面にも湿疹が波及し、さらには手足や体にも拡大することがあります。
アレルギーの原因となっている成分はパラフェニレンジアミン、硫酸トルエン2,5ジアミン、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノールなどの酸化染料が主体です。

染毛剤の分類

図 頭髪を染める製品の分類

ヘアカラーの使用を避けた方がいい方

ヘアカラーを使用し頭皮や顔面に痒みやぶつぶつを生じ、数日間持続する方は、アレルギーになっている可能性があります(写真1)。
我慢して使用を続けると上記のようにさらに悪化していきますので、染めることをやめるか、半永久染毛料などの他の種類の染毛剤に変更する必要があります。
ヘアカラーのかぶれは多くが上記のような症状ですが、稀に染毛中や終了間もなく全身皮膚に蕁麻疹のような赤みや痒みを生じるとともに、冷汗、息苦しさ、シビレ感などの気分不良をきたす別のタイプのアレルギーの型もあります。このアレルギーはアナフィラキシーショックをきたし、生命にかかわることもある危険なアレルギーです。絶対に再使用しないでください。

ヘアカラーによるアレルギーの症状例

写真1 染毛剤皮膚炎
耳介、耳介後部の湿潤性変化を伴う浮腫性紅斑

 

ヘアカラーで頭皮がかぶれてしまった時の対処法

治療には湿疹に用いられる外用剤が有効で、特にステロイド外用剤が有効です。しかしステロイド外用剤は副作用もある薬剤なので症状が強く、持続する場合は皮膚科を受診してください。
皮膚科では症状を軽快させるだけではなく、本当にヘアカラーが原因であるのかについてパッチテストを行い明らかにすることができます。またその後も染毛を続けたいのであれば使用可能な製品はどれなのかなどについても明らかにすることができます。
パッチテストは背部にヘアカラーの成分を貼付したり、使用されたヘアカラーを塗布したりして反応を見る方法で、現時点ではヘアカラーのアレルギーを明らかにする最も信頼できる検査法です(写真2)。
アレルギーになったあとも染毛の継続を希望する場合は酸化染毛剤以外の、ヘアマニュキア、ヘアカラートリートメントなど他の機序による染毛剤が代替品となりますが、最近は半永久染毛剤に属するカラートリートメントの色素によるアレルギーも少数ながら報告されていますので注意が必要です。

パッチテストのテスト結果

写真2 パッチテスト結果
左列ではアレルゲンのパラフェニレンジアミン(PPD),硫酸トルエン2,5ジアミン(PTD),パラアミノフェノール(3-AP)に陽性、右列では本人使用の染毛剤Ⅰ剤と、Ⅰ剤とⅡ剤の混合物で陽性。

ヘアカラーのアレルギーを防ぐためには?

ヘアカラーの使用方法の説明書にはカラーをする前に自身で皮膚テストを行うように書かれています。
その方法は腕にカラー剤を塗って反応を見て、赤みや痒みが出たら使用を避けるというものです。この方法での注意点は塗って20分程度待って判断するだけでなく、2日後まで観察が必要であることです。この検査法は陽性に出れば役立ちますが、すべてのアレルギーを検出することはできず、テストが陰性であっても使用するとかぶれの症状を起こしてしまうこともあります。カラー後にはかゆみなどのかぶれの症状がないか注意深く観察し、異常があれば皮膚科医に相談することが最も良いと考えられます。
酸化染毛剤によるアレルギーをきたすことは以前から知られているのですが、代替となる染まりがよくカラーバリエーションも多い、アレルギーを生じにくいカラー剤の開発がなされていないことにも問題があります。

最近、酸化染毛剤でもアレルギーをきたすことが少ない成分を用いた新たなヘアカラーの開発が試みられており、一般に使用できるようになることが期待されます。

スキンケア講座

アトピー肌・乾燥肌・
敏感肌

赤ちゃんの肌

スキンケア講座

アトピー肌・乾燥肌・敏感肌

赤ちゃんの肌