西田 壽代 様

ひび割れにくくなる!
痛みとさようならできる踵のケア

足のナースクリニック 代表
(社)日本トータルフットマネジメント協会 会長
皮膚・排泄ケア認定看護師
西田 壽代 様

 冬場に向けて一番おこりやすい足のトラブルのひとつに、踵のひび割れがあります。踵がひび割れると痛くて歩くことに支障が出たり、痛みをかばって歩くことで、ひざや腰に負担がかかることもあります。また、高齢者では、足を引きずって歩く原因となり、それが、小さい段差やすべりの悪い床につまずいて、転倒するもとにもなりえます。転倒による骨折は、寝たきりのきっかけになることも知られています。踵のひび割れは寒くなると、毎年おこることだから…とあきらめていませんか?踵がひび割れる原因を知って、日々の小さなケアから取り組んでみましょう。

 冬に踵がひび割れる原因として、皮膚の一番表面にある角質層が乾燥し、柔軟性が失われて硬くなることが挙げられます。そこに歩くときの体重が加わることで、ひび割れていきます。特に足の裏は、他の皮膚とは構造が少し異なっていて、皮脂と呼ばれる脂分の分泌がないため、乾燥しやすい性質があります。それに加えて、冬場は、暖房器具の使用による室内の乾燥、外気温と室内の温度差に体温調節機能が対応できず、あたたかい室内でも発汗による保湿が皮膚に十分いきわたらない等の理由があげられます。最近は、夏場でも裸足にサンダルを履く女性が多く、冷房の効いた部屋に長時間いたり、座りっぱなしの状態で足元が冷えて、踵が乾燥して困っている人も多く見かけるようになりました。

 そこで、毎日保湿をしっかりすること、そして、靴下やレッグウォーマーなど、ひざ下部分の足の保温に気を配ることで、踵のひび割れを防ぐ効果が期待できます。また、踵の乾燥の原因には、足のサイズにあった履き物を履いていないこともあげられます。靴やサンダルが足のサイズにあっていないと、踵がこすれて慢性的に摩擦が加わります。角質は、慢性的な摩擦や圧力、ねじれる力などにより厚みが増します。踵の角質が厚くなると、ひび割れの原因となります。そのため、足のサイズにあった履き物を履き、足の裏がこすれないように、ひもやベルトなどで足の甲を安定させて、足が靴の中で動かないようにすることが必要です。

 他にも、一見乾燥しているように見える踵が、実は水虫であったということもあります。特に、踵にできる水虫は、指の間にできる水虫が慢性化している可能性もありますので、判断に迷ったら皮膚科の受診をお勧めします。毎日、足を優しくきれいに洗うこと、角質を保護するように保湿剤を塗ることが大切です。水虫に感染していることがわかったら、保湿剤の使用については、皮膚科医に確認をしてみましょう。また、靴を清潔にすることや乾燥させることも心がけましょう。毎日同じ靴を履いていませんか?できれば、1度はいた靴は2~3日休ませると、靴の中の乾燥が促されるだけでなく、長持ちします。スリッパなどの室内履きも、乾燥させたり、定期的に洗浄や洗濯、買い替えをするようにしましょう。

 踵を削る電動やすりや、液体の入った袋に足を入れて角質を丸ごとはがすような製品があります。これらの使用は、角質や、それ以下の皮膚の組織を傷つけてしまう可能性がありますので、使用するときには慎重にする必要があります。踵のやすり掛けは、皮膚の自然な再生周期に合わせて、2週間に1回程度おこないます。角質は均等な厚さに削り、多少軟らかくなったと感じる程度でやめます。角質は少し残したままにして、保湿で角質を軟らかくします。薬液を使った角質ケアは、その薬液自体にかぶれてしまったり、角質が取れ過ぎて、薄皮1枚になってしまうこともあるので、事前にパッチテストなどを行ったり、皮膚の弱い人や糖尿病やリウマチ、透析などの治療を行っている人は控えたほうがいいでしょう。

ケア前1
▲写真1 ケア前。
毎年ひび割れている痕跡があります(矢印)。
角質を角質用やすりで削った後保湿した状態
▲写真2 角質を角質用やすりで削った後保湿した状態。
角質を均等に削り、厚みを少し残すことがコツ。
この状態で毎日保湿を続けることで、角質がひび割れにくくなります。
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