常深祐一郎  先生

毎日できるフットケア

東京女子医科大学 皮膚科学教室
准教授
常深 祐一郎 先生

 みなさん「スキンケア」ということばを耳にされたことがあることでしょう。では、「フットケア」はいかがでしょうか?体のパーツの中でもこのように足を取り上げた用語があるのは、それだけ足が重要な役目を果たしているからです。

 足の最も重要な働きは、歩くことですが、歩くとは人間にとって大切な移動手段であり、社会生活を営む上でもとても重要であることは言うまでもありません。歩くことのもう一つの意義は運動です。様々な運動方法がありますが、歩いたり走ったりすることは、場所も選ばず、特別な器機も要しない基本的な運動方法といえます。運動は心肺機能や代謝を維持する上で欠かすことのできない要素です。このように、足は社会生活を営む上でも、健康に生活する上でも、欠かすことのできないパーツといえます。

 その大切な足のケアをするのが「フットケア」です。一口に「フットケア」といっても様々なものが含まれますが、皆さんがご自身でできる「フットケア」を紹介します。それは、<足を洗う>こと、<足をよく観察する>こと、です。え、そんなこと?と言われるかもしれませんが、とても大切なことです。しかもいずれも誰でも毎日行うことができます。お金もほとんどかかりません。<観察する>のはタダです。

 まず、<足を洗う>です。足の洗い方ですが、洗浄料をよく泡立てて、指の間からかかとまで優しく洗います。ごしごししてはいけません。十分泡立てて、その泡でなでる感じがよいです。ですから、よく泡立つ洗浄料が望ましいです。特に指の間をごしごし擦ってしまうことがありますが、皮がめくれ傷を作ってしまいますからNGです。指の間の奥まで洗いますが、あくまでも優しくなでるように行います。洗うことで、汚れも、病原体もかなり減らすことができます。洗うタイミングは、1日の生活の終わった夜がよいでしょう。1日に何度も洗うことは、足の皮膚を傷つけることになりますから、やりすぎになります。洗った後は、指の間まで丁寧に水分を拭き取ります。ぬれたままにしておくと、指の間がふやけてじゅくじゅくしてしまったり、冬場では気化熱が奪われてしもやけの原因になったりします。足の病気やトラブルには様々なものがありますが、それらを悪化させる引き金として多いのが、病原体による感染です。洗うことで感染を効率よく予防することができますから、洗うことはフットケアの中で重要な位置を占めます。うがいが風邪の予防になるようなものです。ちなみに、多くの人が裸足で歩く温泉やプールの床には水虫菌が落ちていることが多いですが、足の裏にひっついた水虫菌も、その日の内に足を洗えば皮膚に入り込む前に流し去ることができます。やはり、足を洗うことは大切ですね。

 もう一つの<足を観察する>ですが、これは文字通り、自分の足をよく見ることです。よく観察して、何か変化があったり、異常を見つけたら、放置せず、医療機関を受診して専門家に判断してもらうことが、疾患の早期発見につながります。単純なことですが、予防と言う観点からは、非常に重要なこととされています。

 ぜひ今日から、足を丁寧に洗って、お風呂上がりには、足をよく観察して下さい。

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