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長谷川 敏男先生

シワはなぜできる?

順天堂大学医学部 皮膚科

先任准教授
長谷川 敏男 先生

 人それぞれのお肌の悩みの中でも、シワはシミと並んで主要な悩みのひとつではないでしょうか。そもそもシワとは何なのか?その定義は「加齢に伴い後天的に生じた皮膚の変形」ということができます。

 皮膚は、表面から角層(角質層)、表皮、真皮、そして皮下組織(主に皮下脂肪)から構成されています。ヤケドなどで水疱を生じるのが、表皮と真皮の境界部です。水疱を見ればわかるように表皮は薄く、したがって皮膚の厚さは真皮が大部分を占めています。

 表皮は常に細胞が入れ替わっている組織であり、古い細胞は表面に押し上げられて、角層になってから脱落しています。このことをターンオーバーといいます。

 一方、真皮は水分やヒアルロン酸などからなるゲル状の基質の中に、強靭な張力を持つ膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維(エラスチンなど)が存在してできており、これらの存在によって肌の張りが保たれています。表皮と異なり真皮は日々大きく変化することはありませんが、加齢とともに徐々に薄くなり、シワを生じます。

 具体的には、肌の老化に伴い真皮の膠原線維、弾性線維などが減少・変性して、張力・収縮力を保てなくなるとシワを生じます。肌の老化は経年変化(自然老化、生理的老化)と光老化に分けられ、経年変化については遺伝的素因の影響が少なくありませんが、真皮の線維の変性・減少は主に光老化によることがわかっています。紫外線によって、真皮の線維を切断する各種酵素の活性が亢進する、あるいは過剰な酸化ストレスを生じるなどのメカニズムで、そのことは説明されています。

 したがって、シワの予防には、サンスクリーン剤(日焼け止め)の使用によって光老化を防ぐこと、特に小児期から不要な日焼けを防ぐことが重要です。もちろん、屋外での適度なスポーツは健康を増進するものであり、それ自体が悪いというわけではありません。

 このように、シワは主に真皮の変性によって生じますが、より浅い表在性のシワもあります。いわゆる乾燥性の小ジワです。肌の乾燥が続くと通常は表皮のターンオーバーで改善しますが、慢性的に乾燥が続くと細かい「ちりめん状」の小ジワが作られてしまいます。この状態は、化粧品※1を用いた保湿により肌が潤うことで目立たなくなる可能性があります。逆に、たるみ(皮下脂肪の下垂・萎縮を含む)にまで至ると、これは余剰皮膚を切除する以外の方法での改善は困難です。このため、シワは未然に防ぐことが肝要であり、そのためにはスキンケア、中でも保湿と日焼け止めがキーワードになります。

※1 化粧品の中には乾燥による小ジワを目立たなくする効能評価試験を実施したものがあります。

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