足の皮膚の特徴(ほかの皮膚とは違うところ)
●足底には毛孔がない
足底は毛孔がないため皮脂腺もなく乾燥しやすい部位です。
●足底には汗腺が多い
臭いが問題になりやすく、靴を履くとさらに蒸れやすくなるため、皮膚も浸軟しやすくなり、びらんなどのトラブルのきっかけとなることもあります。
●足底は立っていても座っていても常に何かと接している
そのため、他の部位に比べて表皮が厚いです。また、足底の皮膚は他の部位に比べてターンオーバーが遅く、古い角質が脱落しにくく角層が厚くなります。
踵や前足部は体重の荷重が強く、胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)、角化というトラブルが起きやすいです。
●足背も創をつくりやすい
足背の皮膚は刺激を受けやすい部位であり、創を生じやすくなります。
透析患者の皮膚の特徴
透析患者は皮膚障害を起こしやすく、皮膚掻痒症を合併している方が多いです。
●透析患者の皮膚掻痒症の原因
〇腎不全、透析に起因する原因
- ・尿毒症物質による老廃物の蓄積
- ・二次性副甲状腺機能亢進症(皮膚への異所性石灰沈着をきたす原因となる)
- ・透析膜による補体の活性化
〇皮膚の乾燥を主とする皮膚の異常
- ・透析患者は高齢者が多いため、皮膚は乾燥しやすくなります。(平均年齢70~74歳)
- ・皮脂膜の形成が不十分で皮膚が乾燥しドライスキンとなります。
(透析による除水や水分摂取制限のため角層内の水分が減少、皮脂腺や汗腺が委縮します) - ・かゆみを伝える神経線維であるC繊維が角層直下まで伸展している
足病変は日常よく見かけるトラブル(靴ずれ、熱傷、外傷、皮膚の乾燥や亀裂等)がきっかけとなることがあります。
腹膜透析患者の出口部周囲のスキンケア
腹膜透析のカテーテル出口部を清潔に保つことは、感染を予防し、腹膜透析を継続するためにとても大切です。初期は出口部のみの感染でも、そのままにしておくと皮下トンネルまで感染が進み、腹膜炎の原因となることもあります。
●なぜ感染は起きるの?
- ・出口部が汚染されている
- ・カテーテルを無理に引っ張ったり、曲げてしまう
- ・テープや消毒薬によるかぶれにより皮膚のバリア機能が低下
- ・乾燥によるかゆみに伴うひっかき傷など
●感染を予防するには?
- ・毎日観察を行う
- ・出口部を洗浄し、清潔を保つ
- ・カテーテルの適切な固定を行う
- ・かぶれ、かゆみを起こさないテープ、保湿剤を使用する
腹膜透析患者の出口部ケアのポイント
(出口部が完成し医師より入浴の許可が出ている患者さん)
●よく泡立てた石鹸で、出口部周囲をやさしく洗い、その後シャワーでよく洗い流します。
(固形石鹸は保管方法により、石鹸自体に細菌が繁殖していることもあるので、ポンプ式の液体石鹸の使用をお勧めします。感染を考え詰め替えはせず、ポンプごと新しいものに替えることが必要です)
●清潔なタオルで出口部の水分をこすらず押さえるようにやさしくふき取ります。
●医療機関から指示された消毒を行います。
(消毒薬でかぶれる場合は、医師にご相談ください。出口部の状態によっては消毒が不要になることもあります)
●ガーゼやテープを使用する患者さんは、ガーゼやテープを貼る前に出口部周囲に保湿剤や撥水保護剤を塗布します。
(テープが貼れる保湿剤がお勧めです)
*下記の写真は、ケアの前後です