紫外線は体にどんな影響を与えるか?
紫外線は体にとって良い面と悪い面を併せもっていますが、圧倒的に悪い面の方が多いと考えられます。まず、良い面としてはビタミンDの生合成があります。しかし、これは敢えて日光を浴びなくても日常生活で知らず知らずに浴びてしまう程度の紫外線で十分まかなわれ、食物からも摂取できるので、まず不足することはありません。
一方、悪い面に関してはたくさん挙げられています。一時に大量の紫外線を浴びれば日焼け(サンバーン)を起こしてしまいますし、少量でも長年にわたって浴び続ければ慢性障害として光老化が起こります。光老化はシミ、しわ、皮膚の良性・悪性の腫瘍として歳をとってから現れてくるので注意が必要です。
最近は更に紫外線が皮膚の免疫反応を抑えてしまうことも分かってきました。また、普通の人では何ら問題ない程度の日光でも色々な皮膚症状が出る光線過敏症も紫外線で起こることが多いので注意が必要です。
どのくらい日焼けをして良いの?
ビタミンDは日常生活で自然にまかなわれるといわれておりますが、実際にどのくらい日焼けをして良いのか、本当に不足しないのか心配になる人もいるかもしれません。
環境省が作成した紫外線環境保健指導マニュアル2015によると、 一日に必要なビタミンDは「一日400~1000単位(10μg~25μg)」とされています。ビタミンDレベルを保つための推奨日光暴露量は、地域(住所)や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキンタイプ)など多くの要因で左右されるため一律に何分とは言えませんが、日常生活で自然にまかなわれる量で充分であるといえます。
たとえば東京都心の8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に両腕と顔が紫外線を浴びるとし、日焼け止めを塗らず外出するとして約3分、1月1日の昼ごろであれば顔と手を露出して外出し約50分として計算されます。ただ、ビタミンDは食物からも経口摂取しているため、ビタミンD不足を心配するのであればまずは栄養の是正が第一であり、ビタミンDのために日光浴をする必要はありません。
敏感肌の紫外線対策
日常生活で光老化を避けるためならさほど強いサンスクリーン剤は必要なく、気をつけなければいけないのは塗る量です。SPFやPAという値は、サンスクリーン剤を1cm²あたり2mg塗って調べられているので、塗り方が少なければ当然記載された効果は得られません。しかし、実際調べてみると、せいぜい必要量の2/3位しか塗られておらず、効果は半分くらいになっていることが予想されます。また、水泳や汗、顔を触ることでとれてしまうことも多々あるので、SPFの値をそのまま信じてしまうと思わぬ日焼けをしてしまいます。
正しい使い方は規定量、たとえば顔ですと真珠の玉2個分位を全体にのばします。また、3時間に1回くらい塗り直す方が確実です。SPF値が高いものであれば多少とれても効果がありそうだと思われるかもしれませんが、あまりに高い数字のものはどうしてもサンスクリーン中の紫外線を防ぐ働きをする成分が濃くなりがちです。特に敏感肌の方は、状況に応じて適当な強さのものを、きちんと塗る方が良いでしょう。
塗る場所として、顔はもちろんですが、意外と忘れやすいうなじや、耳たぶ、胸、首、手の甲にもきちんと塗りましょう。敏感肌の方は紫外線吸収剤フリーの「ノンケミカル」と記載のある製品を使用することがおすすめです。
子どもの紫外線、正しく防ぐには?
生後半年までは強い日光暴露はさけ、紫外線が強い環境にでる場合は、ベビーバギーの日よけや、幅広いつばのある帽子、衣類で防御するようにしましょう。経皮吸収などのリスクを否定できないため、原則サンスクリーン剤の使用は控える必要があります。生後半年を過ぎ、どうしても遮光が難しい時には、必要最小の範囲に使用を留めます。
子どもに適したサンスクリーン剤の要件は、「SPF15以上」「PA++~+++」を目安とし、無香料かつ無着色の表示があるもの、プールでは耐水性もしくはウォータープルーフ表示のものを推奨しています。