廣瀬 伸良 先生

「トンズランス感染症」を知っておこう!
~その症状と予防法~

順天堂大学大学院
スポーツ健康科学研究科
教授
廣瀬 伸良 先生

格闘技選手の間で感染の増加がみられるトンズランス感染症について、その症状と予防法をお話いただきました。

新しい水虫菌による「トンズランス感染症」

トンズランス感染症は、外国から持ち込まれた新しい真菌症であり、柔道やレスリングなどの格闘技選手の間で増えています。毛髪のなかを好むため、頭髪部にすみついて脱毛を伴った白癬症やふけ・痒みなどを引き起こします。また、頭部以外の身体部にも白癬症が出現します。

柔道やレスリングなどの格闘技選手の間で増えているトンズランス感染症

どんな病気?

トンズランス菌は感染力が強く家族・友人にうつったり、一度感染すると非常に治りにくいので注意が必要です。

この菌にはゼニタムシ(体部白癬)とシラクモ(頭部白癬)の2種類があります。最初はあまり目立たず、見逃されていることが多いのですが、次のような症状があります。

① 体部白癬……

発疹は、柔道着等ですれる顔、首、上半身に単発あるいは複数認め、直径1~2cmの小さなものが多く、かさかさしたピンク色の斑で、よく見ると、中央部は治癒して環状になります。

② 頭部白癬……

ふけやかさぶたが少しできる程度の症状の軽いものが多いのですが、ひどい場合は、頭皮が盛り上がり、膿みが出て、脱毛を生じます。

体部白癬 頭部白癬

予防が大切!

トンズランス菌の感染経路は、そのほとんどが、体が触れることによるとされていますが、その他には、畳やマットからの感染、衣類やタオル、寝具類を共有することからの感染も考えられます。集団感染を阻止するには、自分の身体や練習場、部屋などをいつも清潔に保つことが大切です。

  • 1.練習直後にシャワーや入浴をし、できるだけ早く頭や身体を石鹸で洗いましょう。他の白癬菌に比べても、トンズランス菌の体内への侵入速度は速く、傷口からだと通常の約2倍の速さで侵入します。
  • 2.シャワー施設のない場合は、水道の蛇口を利用して頭を洗浄し、濡れたタオルで身体を清潔にして下さい。
  • 3.練習着はよく洗濯しましょう。練習着には菌が付着してしまいます。
  • 4.練習後には掃除機を用いて練習場をよく掃除しましょう。自分の部屋も清潔にしましょう。
  • 5.部員同士で帽子やシャツ、タオルなどの貸し借り(共用)は、やめましょう。
  • 6.部員内、家族内に症状のある人がいたら、早めに治療するように勧めましょう。
  • 7.練習前後に友人同士でボディチェックをし、皮疹のある者は休ませましょう。

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