髪の毛はなぜ伸びる?
髪の毛は皮膚内部にある毛根から伸びています。
毛根の最下部は少し膨らんだ形で、毛球と呼ばれます。
毛球の中には毛乳頭と呼ばれる部分があり、髪の毛の発生と成長をつかさどっています。
髪の毛はこの毛乳頭と接したところにある毛母細胞の分裂によって成長し、
毛乳頭は指令を出して、毛母細胞の細胞分裂をコントロールしています。
つまり、毛乳頭から髪の毛の成長を促す指示が出ると、毛母細胞が盛んに細胞分裂を行い、
髪の毛となって頭皮に向かって押し上げられていきます。
髪の毛は毎日100本程度抜けています
髪の毛の成長は半永久的に続くのではなく、一定の寿命があって自然に脱落し、新しい髪の毛に生え変わります。
このサイクルをヘアサイクルと呼びます。
ヘアサイクルは毛の生える部位によって異なり、それぞれが独自のヘアサイクルを営んでいます。
ヘアサイクルのほとんどの期間は成長期で、髪の毛では、2~7年の期間があります。
成長期では、毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、髪の毛が成長します。
その後、成長が停止する1~2週間の退行期と呼ばれる期間を経て、髪の毛が成長を停止したまま脱落する休止期を迎えます。
毛根の数は産まれた時点できまっており、
全身に存在する合計500万本の毛のうち、髪の毛は10万~15万本です。
ヘアサイクルに従うと1日に60本ほどの髪の毛が抜け、多い時は100本近く抜けることもあります。
ただ、サイクルが極端に短くなると抜け毛や薄毛のトラブルが起こります。
細く短い毛が多く抜けるようになったら、サイクルが乱れているサイン。
成長期が短くなったために、髪の毛が十分に成長しないうちに抜け落ちてしまうのです。
再生医療に向けた研究も進んでいます
私たちはネスチンという細胞の骨格を作る線維の一つが、
髪の毛を再生する幹細胞に発現していることを明らかにしました。
髪の毛の一本一本にこの幹細胞が存在していて、髪の毛が抜けた時に新しい毛を再生します。
ネスチンを発現する髪の毛の幹細胞は髪の毛の細胞のみでなく、神経の細胞、色素細胞、平滑筋の細胞、心筋の細胞などにもなれることが明らかになりました。
この髪の毛の幹細胞を使った神経や心臓の損傷部分を再生する医療に向けた研究が進められています。