河内 沙織 先生

いつから必要!?
紫外線対策は春先からした方がいい理由

アウルスキンクリニック
院長
河内 沙織 先生

1.UVケアが必要な理由

「顔が赤くなった!かゆい!」皮膚科ではこういった患者さんがしょっちゅう受診されます。何が問題なのでしょう。何かのアレルギー?化粧品が合わない?虫に刺された?原因はさまざまあるのですが割と多いのが日光皮膚炎、いわゆる「日焼け」です。診察室で顔のかゆい患者さんがいらしたとき、問診で「デパートでもらったファンデーションのサンプルを使いました」「毎朝健康のためにスムージーを飲んでいます」「整形外科で痛み止めの湿布をもらっています」とおっしゃる方は注意が必要です。これらは化粧品接触皮膚炎、光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎の原因となる可能性があり、紫外線が加わることで症状が強く出ることがあります。このような場合は塗り薬や飲み薬以外に紫外線を避けることも重要になってきます。また通常の皮膚炎であっても、赤みがある時期に日焼けをすると炎症後色素沈着といってシミとして長い期間残ることがあるため、病変がどのようであれUVケアが必要です。紫外線の中には発がん性や光老化の原因となる有害な波長が含まれているため、日常生活でのUVケアを習慣化するとよいでしょう。

2.いつからUVケアが必要か

紫外線には3種類あり、その中でも皮膚がん、乾燥、しみ、日焼けの原因となるUVB、しわ、たるみ、免疫低下、老化の原因となるUVA、とそれぞれ深刻な肌ダメージを与えます。これら紫外線は一年中、日の出から日の入りまで地上に降り注いでいます。

「曇りなので…」「在宅ワークなので…」と日焼け止めをしない方がいらっしゃいますが、曇りの日でも紫外線は雲を透過し、窓ガラス越しでも屋外の80%以上の紫外線が透過すると言われています。学校教師や長距離運転手の方々が、長時間にわたり窓から差し込む太陽光にさらされていた結果、顔の半側だけ突出して老化が進んでしまった話は有名です。一年を通してのUVケアが皮膚科医の中では常識になっており、特に春先は、暖かくなると薄着になり肌の露出が増えるため、紫外線量がピークとなる夏よりも少し早めにUVケアを積極的に行うとよいでしょう。

3.正しいUVケア方法

塗る日焼け止めをメインに、日傘や帽子を使用したり長袖を着たりするとよいでしょう。また、紫外線は皮膚だけでなく目からも吸収されるためサングラスの着用で約90%、目への紫外線をカットすることができるといわれています。まぶしさだけでなく紫外線防止の面からもこれらを着用することをおすすめします。また近年、主に抗酸化作用のある成分が含まれる「飲むタイプの日焼け止め」が普及しています。これは紫外線によるダメージから肌を守るサポートをしてくれるサプリメント、もしくは機能性表示食品のことで、紫外線を物理的にカットするものではないため、基本的には従来の「塗る日焼け止め」を併用することをおすすめします。
塗る日焼け止めについては塗り心地や使用シーンで選ぶとよいでしょう。海やプール、スポーツの際は汗や水に強いもの、日常使いであればせっけんで落ちるものがおすすめです。また、紫外線防止機能の他に多機能を有する日焼け止めが医療機関等で取り扱われています。具体的にはニキビ治療中であればノンコメドジェニックテスト済み、しみやそばかすを防ぎたいようであれば肌荒れを予防するトラネキサム酸や抗酸化作用のあるフラーレン配合、PC作業の多い方はブルーライトカット機能を持つ日焼け止め、などの機能を持つものがあります。塗り方ですが、多くの方は日焼け止めの防御効果を得るのに十分な量の日焼け止めを使用できていないと言われています。顔であればパール粒約2個分から1円玉硬貨約2枚分の量が必要です。また一度塗った日焼け止めも手や衣類に触れたり、汗をかくことで落ちますので2,3時間おきに塗りなおしするとより効果的です。UVケアの方法を詳しく知りたい方は、かかりつけの皮膚科・形成外科の先生へご相談してみてはいかがでしょうか。

正しいUVケア方法

出典:
※ 西山 一朗;駒沢女子大学研究紀要(人間健康学部・看護学部編)(2434-7574)3号 Page19-26(2021.03)

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