酒さは「赤ら顔」とも呼ばれ、顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患です。中年以降に発症しやすく、男性よりも女性に多い傾向があります。顔面に症状が発現するため、日常生活に支障をきたすこともあります。
酒さは、鼻や頬、額などに赤みやニキビのような症状がでる病気です。しかし、ニキビとは異なり、面皰と呼ばれる毛穴の入り口の角化や毛穴のつまりを伴いません。皮膚の症状に加えて、ほてりやヒリヒリ感などもみられます。
酒さは臨床症状によって①紅斑毛細血管拡張型②丘疹膿疱型③鼻瘤④眼型の4型に分類されます。
顔が赤くなり、毛細血管の拡張がみられます。ほてりやヒリヒリ感があります。
赤い盛り上がりや膿のたまったニキビのようなぶつぶつがみられます。ほてりやヒリヒリ感があります。
鼻を中心に腫瘤を形成します。
眼の充血、異物感やかゆみ、乾燥、まぶしさを感じます。
酒さの患者さんはこれらの病型が複数混在することがあります。
酒さは典型的には以下のように進行していくとされます。
酒さの原因は明らかになっていませんが、臨床病態の観察から複数の増悪因子の関与が指摘されています。紫外線や高気温・低気温などの外部環境、精神的ストレスや食べ物などによる体の内部環境、その他、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
酒さの治療は、①悪化因子の除去 ②スキンケア ③医学的治療 です。
まずは、ご自身の酒さが悪化する原因を特定し、その因子を避けることが大切です。また、適切なスキンケアも治療の一つです。適切に遮光(紫外線対策)し、低刺激性の洗顔料や保湿剤を使用します。医療機関を受診し、皮膚科専門医にご相談されるとよいでしょう。
医学的な治療方法は、顔の赤みやぶつぶつ、毛細血管の広がりを改善する目的で治療を行います。主な治療方法は外用薬と内服薬による治療ですが、毛細血管拡張に対して自費治療によるレーザー治療・光治療を行うこともあります。
皮膚の炎症をおさえることで、酒さの赤みやニキビのようなぶつぶつを改善するお薬では、赤みはゆるやかに改善し、症状が落ち着くまで時間がかかります。赤い盛り上がり、膿をもったぶつぶつは比較的早くに改善が認められ、一般的には数か月で改善がみられます。悪化因子により悪化することもありますが、治療をつづけることで悪化の程度をおさえることが期待できます。塗り薬に加え、抗生物質や漢方の内服薬を併用することもあります。また、アゼライン酸含有化粧品をケアとして使用することもありますが、使い始めに軽度の刺激感を感じる人もいます。
主に毛細血管拡張症状の改善を目的とする治療として、各種レーザーやintense pulsed light(IPL)が使用されています。
悪化因子を避けることが大切です。暑さ、寒さなどの生活環境、アルコールや香辛料など刺激の強い食べ物、医薬品や化粧品など、生活の中で原因となっているものを見つけ、それらをできるだけ避けた生活を心がけましょう。原因となるものがわかっている場合、特に悪化したくない時期にはなるべく避けるようにしましょう。
酒さに対するスキンケアはどの病型の酒さに対しても行います。適切に遮光し、低刺激性の洗顔料や保湿剤を使用しましょう。以下にスキンケアのポイントをまとめます。
【参考文献】
1)林 伸和 ほか: 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. 日皮会誌:133(3),407-450,2023
2)山﨑研志:スキルアップ!ニキビ治療実践マニュアル. 2-2 )酒皶の臨床, 診断と治療法. 全日本病院出版会:10-14, 2015
3)山﨑研志:皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント, 8 酒皶の対処法. 中山書店:37-41, 2012
4)菊池克子:酒さのスキンケア. Visual Dermatol, 13: 863-865, 2014.
5)大森遼子:酒さ・赤ら顔患者のスキンケア. BEAUTY #41, 5: 33-42, 2022.
アトピー肌・乾燥肌・
敏感肌
紫外線トラブル・シミ・
エイジング
赤ちゃんの肌
アトピー肌・乾燥肌・敏感肌
紫外線トラブル・シミ・エイジング
赤ちゃんの肌