落合 大吾 先生

妊娠中のおりものの変化とは?
デリケートゾーンケアのポイントについて

北里大学医学部
産婦人科教室(産科学)
教授
落合 大吾 先生

妊娠中におこりやすいデリケートゾーンの悩み
(おりものの量が増えます)

妊娠中は、身体や心が急激に変化していく期間です。ホルモンバランスの変化を始めとして、身体にはさまざまな変化がおこります。この変化に伴ってデリケートゾーンにも多くの症状が現れます。例えば、妊娠中はおりものが増えたり、性状が変化したりします。色は透明から乳白色、白っぽいものとなり、生卵の白身のようだという方もいます。また、酸っぱい匂いがするようになったと表現される方もいます。
おりものの変化は個人差も大きく、臭いなどの感じ方も人それぞれです。ただ、妊娠中でも、カッテージチーズのような白くてポロポロのおりものが出たりする場合はカンジダ腟炎の可能性があります。要注意です。

尿もれ

妊娠中のカンジダ腟炎の症状

妊娠中はカンジダ腟炎にかかりやすくなります。その理由は、月経には腟を洗浄する作用がありますが、妊娠中はその月経が10ヶ月近くもないからです。また、妊娠による免疫力低下もカンジダ腟炎の原因です。おなかの赤ちゃんを異物と判断しないために妊婦さんは皆さん免疫力が低下しているので、カンジダが増殖しやすい環境となってしまいます。このほか、つわりによる体力低下や様々な妊娠中のストレスも、カンジダ腟炎の原因になります。
妊婦に多くみられるカンジダ腟炎では、白や黄色のチーズ状のおりもの、腟壁と腟の外部周辺のヒリヒリする痛み、かゆみ、赤みなどの症状が多く見られます。ただ、妊娠すると肌がデリケートになるので、おりものかぶれでかゆみが出ることもあります。また、カンジダ腟炎の方でも自覚症状がない人もいれば、おりものが増えてかゆい、などの症状があってもカンジダ腟炎ではない方もいます。実は、3割くらいの妊婦さんはカンジダ腟炎に罹っているとも言われていて、そのくらいカンジダ腟炎は一般的なものなのです。
カンジダはカビ(真菌)の一種なので、診断されて症状があれば、抗真菌薬の錠剤を1日1錠、腟の中に6日間ほど入れたり、抗真菌薬のクリームを1週間程度塗るなどの治療もできますので必要以上に心配する必要はありません。

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妊娠中のデリケートゾーンのケア

高温・多湿はカンジダ真菌が好む環境です。妊娠中は、汗をかいたらこまめにショーツを取り替えるなど、デリケートゾーン周辺が蒸れないよう注意してカンジダ腟炎を予防しましょう。特に妊婦さんのショーツは、お腹まですっぽり覆うタイプが多く蒸れやすいので注意が必要です。
妊娠するとおりものの量が増えた、という妊婦さんは非常に多いです。おりものが付着したままのショーツをはき続けるのも蒸れの原因となるので、おりものシートを活用しこまめに取り替えるようにしましょう。
妊娠中は心身ともにストレスを溜めこみやすい時期でもあります。なるべくストレスを溜めないで、気力・体力を充実させることも大切です。そのためには、充分な睡眠、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
そして、妊娠中におりものが増えるのは、ある程度は自然なことです。気にしすぎて、デリケートゾーンを“ゴシゴシ”刺激の強い石鹸で洗うと皮膚や粘膜を刺激して、余計に悪くなることもあります。必要以上に清潔にしようと思うことはありません。

尿もれ

おりものが気になる方は、まず規則正しい生活を心がけからだの免疫力を保って、毎日の入浴で正しい清潔ケアを行うことを心掛けることからはじめてはいかがでしょうか。カンジダ(真菌)に対する抗真菌成分配合の泡タイプの石鹸を使って、泡でなでるようにして清潔ケアを行うことはオススメです。

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