アトピー肌・乾燥肌・敏感肌atopic
菊地克子先生

顔が赤くなる「敏感肌」の原因

監修
医療法人社団廣仁会
仙台たいはく皮膚科クリニック
院長
菊地克子 先生

「敏感肌」とは

顔面の皮膚について論じる際に、外界の刺激に過敏に反応する肌を広い意味で「敏感肌」といいます。
目に見える異常な症状がなく、痒みや刺激感、灼熱感、つっぱり感など不快な自覚症状だけのこともあります。
統計的レビューでは、皮膚バリア機能低下と血管反応性の亢進が「敏感肌」の特徴とされています。
「敏感肌」には、様々な皮膚状態、皮膚疾患のひとが含まれる可能性があります。
ここでは、顔に赤みを来す「敏感肌」の種類について述べたいと思います。

●顔の赤み

顔に赤みを来す皮膚疾患は多数あります。 ①化粧品や染毛剤などによる接触皮膚炎、眉や鼻の周りなど皮脂分泌が多い部分に好発する脂漏性皮膚炎、そして顔を含む全身に湿疹を繰り返すアトピー性皮膚炎などの湿疹・皮膚炎群、②尋常性痤瘡(ニキビ)や酒皶(しゅさ)、口囲皮膚炎などの皮膚付属器系炎症性疾患、③光線過敏症など太陽紫外線が原因となるもの、④全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎などの膠原病、⑤細菌や真菌、ウイルス感染症、⑥サルコイドーシスなどの肉芽腫性疾患、⑦好酸球性毛包炎などがあります。
これらの中で比較的高頻度にみられ、皮膚症状が長く持続し、「敏感肌」症状を来すものとして、アトピー性皮膚炎と脂漏性皮膚炎、尋常性痤瘡、酒皶、口囲皮膚炎があげられます。

●アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はアレルギー素因のあるひとで体のあちこちに痒い湿疹を長期にわたって繰り返すものです。目に見える病変(湿疹)がない皮膚も乾燥して、バリア機能が低下しているという特徴があります。顔では額やこめかみ部、瞼、頬、口唇に赤みや肌荒れが生じることが多いです。バリア機能が低下している「敏感肌」の代表といっていいでしょう。アトピー性皮膚炎では抗炎症外用薬を使って湿疹を落ち着かせることと、保湿・保護剤を塗布して低下したバリア機能を補うことが必要です。アトピー性皮膚炎ではハウスダスト中に存在するダニなど環境抗原やチクチクした衣類や刺激の強い洗浄剤など刺激因子に反応して湿疹が増悪するだけでなく、化粧品などによる接触皮膚炎や花粉やホコリによる空気伝搬性接触皮膚炎も生じやすいとされます。洗顔料やシャンプーは十分にすすぎ肌を強く擦らないようにしましょう。

●脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、頭皮や額、眉、眉間や鼻の周囲や鼻唇溝(ほうれい線)周囲など皮脂分泌が多い皮膚に好発する赤みで、表面に角質の塊である鱗屑を伴うことが多いです。毛孔に常在する真菌であるマラセチアが増殖することが主な原因となるので、抗真菌外用薬の外用治療が行われますが、炎症制御にはステロイド外用薬が用いられます。

●尋常性痤瘡(ニキビ)

ニキビは思春期以降に顔面などの脂腺性毛包に繰り返し出現する疾患です。
多くは25歳くらいまでによくなりますが、それ以降も続くかたもいます。毛包漏斗部の過角化、皮脂分泌増加、ニキビ菌を発端とする炎症が病態とされます。毛穴のつまりを改善する抗面皰外用薬とニキビ菌を減らす抗菌薬を組み合わせて治療を開始し、炎症性皮疹(赤ニキビ)が減ったら、新しいニキビができないように維持治療として抗面皰薬の継続がすすめられます。ニキビ患者さんでは、ニキビがないひとと比較して皮脂分泌が多い傾向、皮膚バリア機能が悪い傾向にあります。なお、顔面全体が赤みを帯びて刺激を感じやすい痤瘡患者さんもいます。このような方は、痤瘡治療外用薬で刺激症状が強く表れることがあります。

●酒皶(しゅさ)

酒皶は、中年以降に好発する、赤ら顔やニキビに類似する皮疹を生じる慢性炎症性疾患です。温熱刺激や太陽紫外線などの外部刺激に対して易刺激性があり、灼熱感を伴う発作性の発赤を生じます。一過性の発赤から持続性の赤み、毛細血管拡張、そして毛包性の丘疹・膿疱を生じるようになります。赤みは額の中央から眉間、頬、顎と顔面の中心に好発し、瞼の皮膚はあまり赤くなりません。眼の赤みが合併する型や線維性の膨らみを生じる型もあります。酒皶患者さんでは皮脂量増加はないものの顔面の皮膚が乾燥することが示されています。バリア機能は不変という報告と低下するという報告があります。酒皶では、自然免疫系ならびに知覚神経の過剰反応が病態として推定されており、皮膚の微生物や環境の刺激因子により炎症反応や血管反応が起こるとされます。低刺激性のスキンケア製品を用い刺激を避けることが必要です。

●口囲皮膚炎

酒皶やニキビに類似した皮疹が口周囲に出現している状態を口囲皮膚炎といいます。ステロイド外用薬を不適切に使用した後に出現するものが有名です。アトピー素因を持つことが多いことや皮膚バリア機能低下が指摘されています。

おわりに

「敏感肌」となる赤ら顔症状を呈する代表的疾患について述べました。
健康なひとでも、季節の変わり目や強く太陽紫外線を浴びた後などは、肌荒れが生じることがあります。そのようなときは、肌は敏感となり軽度の赤みを呈することもあります。
バリア機能を補う低刺激性の保湿クリームなどを用いて肌をいたわるスキンケアを行いましょう。

文献
Richters R et al. What is sensitive skin? A systematic literature review of objective measurements. Skin Pharmacol Physiol. 2015:28:75-83.

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