高山 かおる 先生

足から変える健康寿命

済生会川口総合病院 皮膚科
主任部長
高山 かおる 先生

健康であるために、みなさんはどのようなことを心がけていますか?
たとえば、生活習慣病や認知症にならないために、適切な運動や、ウォーキングを行うことはとても大切です。実践している方も多いのではないでしょうか。
しかし、靴を履く前に爪のケアを行い、足や爪を傷めないための靴を履き、足腰を傷めずに歩く、正しいウォーキングの姿勢を身につけている方はどのくらいいるでしょうか?

厚生労働省の発表している平成25年のデータによると、男性の平均寿命は80.21歳、健康寿命は71.19歳でその差は9.02年、女性になると平均寿命は86.61歳で健康寿命は74.21歳となり、その差はなんと12.4年もあるそうです。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことなので、男性は9年の間、女性に至っては12年も、体に何らかの異常があり、日常生活に制限がかかりながら生活しているということになります。

では、要支援や要介護になる理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
実は、要支援者では「関節疾患」が20.7%で最も多く、要介護者では「脳血管疾患(脳卒中)」が21.7%、「認知症」が21.4%と多くなっています。また常に介護が必要となる状態である要介護4に陥る原因の第3位は転倒による骨折という結果です。この結果を考えると内臓の疾患で支援や介護を受ける状態になる以上に、関節の問題や転倒といった体の外側の機能が悪くなることが健康寿命と平均寿命の差を生む問題であることがわかります。(厚生労働省発表 平成25年 国民生活基礎調査の概況)

私たちはその理由のひとつに爪の異常があるのではないかと考えています。そして、爪の問題を防ぐためには、「フットケア」が重要なのです。「フットケア」とは、足をさまざまな病気から予防するためのケアのことを指しています。なぜ「フットケア」が大事なのかというと、足は立って歩くために欠かすことはできない体の重要な部位であり、立って歩けるからこそ自立がなりたち、手が使え、好きな所へ移動できるからです。
ケアをして足を守っていかないと、だんだんに変形してきます。足と膝、膝と腰、腰と首というように体はつながっていますから、足が悪くなれば膝や腰などほかの大きな関節を痛めることにつながり、たとえば外反母趾の患者さんの多くは膝の関節症をわずらったりしています。足が痛くなって、腰や膝が痛くなって不自由になってしまい、はじめて足が健康であることの重要さに気がついても、なかなか改善することは難しいのです。

足や爪の異常は長い人生を送るうちに蓄積していきます。たとえば多くの方がかかる水虫は長い期間そのままにしてしまうと、爪に菌がはいり、爪があつくなったり、食い込んだりする爪白癬を発症します。こうなると水虫の問題だけではなく、うまく力をかけて立つことができなくなり転倒を招く原因になったりするのです。「フットケア」というのは、爪の周りを清潔にし、爪を必要な長さに整えるなどの簡単なものです。この簡単なひと手間がとても大切なのです。体の不自由な方は今以上に弱ることを防ぐために、現在健康な方は維持するために、足もとから、ケアをはじめてみませんか?

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