ストーマはおなかに新しくつくられたお尻の穴のようなもので、人工肛門・人工膀胱などの種類があります。
ストーマを作られた方の心配ごとのひとつは皮膚がただれないかということです。ストーマに近い皮膚には尿や便が触れることが多くなり、その状態が長時間続くと、ただれたり、ときに痛みを伴うことがあります。
ストーマがつくられると、多くの場合、便や尿を我慢することができなくなるため、排泄物をためるためのストーマ装具を皮膚に貼って生活します。装具が常に貼られた皮膚は蒸れやすくなり、蒸れた皮膚はトラブルを起こしやすくなります。ストーマ装具は排泄物がたまると重くなり、その重みで皮膚は引き伸ばされます。また、装具は定期的に交換しますが、このとき装具をはがすことも皮膚への負担となります。このように、ストーマ装具を貼っている皮膚は多くの負担がかかりますが、だからといって装具を貼ることをやめることはできません。
ストーマ装具を安定して貼り続けられるようにするには、ストーマ周囲の皮膚を健康で清潔に保ち続けることが大切です。ではストーマの周りの皮膚がただれずに、よい状態を保つためにはどのようにすればよいのでしょうか?
1. まず、ストーマ周囲の皮膚に便や尿が長時間つかないようにします。そのためには、ストーマにあった装具を使用します。穴の大きさが適当であることや、ストーマ周囲にくぼみやしわがある場合は、尿や便がもれないような工夫も必要です。交換間隔は装具のとけ具合(もち具合)と皮膚のただれがないことを確認して決めていきます。
2. ストーマ装具の重みで皮膚が引き伸ばされないように、排泄物を袋の半分を目安に空にします。ベルトなどを使用することも有効です。
3. ストーマ装具の交換で装具をはがすときは、皮膚が引き伸ばされないように押さえます。装具がはがれにくい場合は剥離剤を使用することもお勧めです。
4. ストーマ装具をやさしくはがしたら、装具が貼られていた皮膚をやさしく清潔にします。ストーマ周囲の皮膚は装具交換のとき以外は清潔にすることができません。入浴して身体を洗うように、石鹸を使用して皮膚をきれいにします。ごしごしこすることは皮膚への負担になるので避けます。顔を洗うように、十分に石鹸を泡立てて、手でやさしく洗います。石鹸は、皮膚の表面と同じ弱酸性のものや、香料の少ないものが皮膚への刺激は少ないと思います。泡立てるのが面倒であれば、泡で出るタイプの石鹸を選ぶのがよいでしょう。災害時に使用しやすいよう、水で洗い流す必要のない石鹸もあります。蒸れた皮膚にはカビが繁殖することがありますが、抗真菌(抗カビ)成分配合の石鹸もあります。ストーマは傷ではないので、消毒の必要はありません。
ストーマ周囲の皮膚はさまざまな試練に耐えています。やさしく扱うことが大切です。