「顧みられない熱帯病(neglected tropical diseases: NTDs)」(※)は、世界約150の国と地域で蔓延し、感染者数は約10億人にものぼります。「顧みられない熱帯病」は貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となりますが、この病気の感染が、経済成長の妨げにもなり、貧困から抜け出せない悪循環の原因ともなっています。
「顧みられない熱帯病」の多くは、何かしらの皮膚症状をもっていることが多くあります。開発途上国の「顧みられない熱帯病」にかかっている患者の多くは子どもであり、目に見える皮膚症状は早期発見・早期治療のきっかけとなります。
そこで、着眼したのが学童検診です。学校を活用するのは、いっぺんに診察できるという点から効率的であるばかりでなく、早期発見・早期治療のためのもってこいの場です。「顧みられない熱帯病」は、診断・治療が遅れると、生涯にわたる重症な障害を残し、またときに偏見・差別があるため(多くの場合はその外見から)、早期発見・早期治療がとても重要です。
まだ、活動ははじまったばかりですが、確かな手応えを感じています。「顧みられない熱帯病」を診断・治療することを目的としている活動ですが、その他にも、約30%にのぼる学童に皮膚症状をみとめました。特に、多かったのが、頭のカビ症/真菌症(頭部白癬)です。今回は、頭のカビ症/真菌症で悩む子どもたちに、ふけ・かゆみが少しでもおさまるようにシャンプーを使ってもらいました。ふけ・かゆみの原因のひとつに真菌がかかわっているため、真菌に対して効果をもつ成分を配合したシャンプーです。
今後も、この活動をアフリカ地域に広げ、子どもたちの皮膚検診を通し、病気で苦しむ子どもを少しでも減らせるように活動していきたいと思います。
※WHO(世界保健機関)が、人類の中で制圧しなければならない熱帯病と定義している17の感染症のことを指します。