清 佳浩 先生

フケ症とマラセチア属真菌

帝京大学医学部附属溝口病院 皮膚科
客員教授
清 佳浩 先生

マラセチア属真菌との出会い

 脂漏性皮膚炎とは皮膚からでる脂(皮脂)と、皮膚に常在している微生物(マラセチア属真菌)が原因で起こる皮膚の炎症です。症状が頭にでるとフケ症と呼ばれ、フケ・かゆみが生じます。
 1985年当時、脂漏性皮膚炎の原因がまだ分かっておらず、頭や顔が赤くてかゆければ脂漏性皮膚炎と診断し、定期的にステロイドを処方するのが一般的でした。
 しかし、授業の準備をしていたとき、ふとしたきっかけで脂漏性皮膚炎の方の頭皮にたくさんの胞子(マラセチア属真菌)がいることに気付き、脂漏性皮膚炎の方に抗真菌薬を使ってみるのはどうだろうと考え始めました。

脂漏性皮膚炎の原因を証明したい

 まずは脂漏性皮膚炎で胞子がたくさんある方に対して、抗真菌薬をつかってみるという単純な試験から始めました。当初、真菌症の大御所の先生からは「そんなものは洗っておけばいいんだよ」と言われたりもしましたが、翌年になり、その先生が脂漏性皮膚炎にステロイドと抗真菌薬の合剤を使っていることを知り、自身の考えが正しいことを確信しました。
 1993年には世界で一番マラセチア属真菌の臨床研究をされているスウェーデンの先生を学会セミナーへ招くことで、国内の研究の活発化にもつながりました。
 その後、関東の9施設でフケ症に対する抗真菌成分配合シャンプーを用いた二重盲検比較試験を行い、1997年にはその結果が真菌の専門誌に掲載されました。試験では、抗真菌成分がフケ症に効果があるということが分かり、マラセチア属真菌がフケの原因であることが確認できました。

頭がかゆいとき・・

 脂漏性皮膚炎の人の頭皮にテープを貼り、表面のフケなどを取って染色液で染め出すと、健康な人の50倍以上のマラセチア属真菌がみられます。マラセチア属真菌は、人の皮膚に普通に存在する菌で、脂を栄養源として増え、脂を分解して皮膚に刺激を与えます。脂漏性皮膚炎の発症にはほかに、体質的な要因、食事バランスや洗髪の仕方、ストレスなど生活上の問題も関係しているといわれています。
 治療はもちろんですが、症状が治まった後はフケ・かゆみ向けのシャンプーを使うなど、無理ない範囲で予防を心がけましょう。

マラセチア属真菌(フケ原因菌)
▲マラセチア属真菌(フケ原因菌)
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