敏感肌に見られる肌トラブルには「アトピー体質」「化粧品などのかぶれ」「ニキビ」「皮脂の分泌過剰による肌トラブル」などがあり、これらの肌トラブルには治療と併せて正しいスキンケアを行うことが必要です。
敏感肌の状態や、洗顔→保湿→紫外線防止のお手入れの説明に加え、肌トラブル別のスキンケア方法をお話していただきました。
「敏感肌」は、一般的に、乾燥などによって皮膚のバリア機能が低下し、外からの刺激を受けやすい状態の肌と考えられています。また、ニキビや脂漏性皮膚炎など皮脂のバランスが崩れているタイプや、季節の影響を受けるタイプも敏感肌といわれることがあります。敏感肌に見られる肌トラブルには、次のようなものがあげられます。
これらの肌トラブルには、治療と併せて正しいスキンケアを行うことが必要です。
敏感肌の状態を見てみましょう。
敏感肌では、角質層の水分量や皮脂量が低下することでバリア機能が十分ではなくなるため、アレルゲンや刺激物質が入りやすくなり、かゆみや湿疹、かぶれを引き起こしやすくなります。
バリア機能を保つためには、角質層に水分が保たれていることが重要で、天然のバリアである「3大保湿因子」が関係しています。
「3大保湿因子」は、肌本来のもつ、次の3つの成分です。
●細胞間脂質(セラミド)
水分が肌から逃げないようにしっかり捕まえて、肌のバリア機能を担います。
●天然保湿因子
角質層に水分をとどめます。
●皮脂
皮脂で、うるおい膜を強化し、水分の蒸発を防ぎます。
敏感肌では、セラミドをはじめとした3大保湿因子が不足しているため、乾燥し、バリアが機能しなくなります。
バリア機能を正常に保つためには、「洗顔」、「保湿」と「紫外線防止」で行う「正しいスキンケア」が必要です。
当たり前、と思わずにもう一度この基本のステップを見直してみましょう。
肌をやさしく洗い、余分な皮脂や汚れ、古い角質をしっかり落としましょう
敏感肌は刺激を受けやすいため、低刺激性の洗顔料やクレンジングを選び、やさしく洗いましょう。また、肌の状態に合わせて、洗顔料の使用回数を調整しましょう(ニキビやオイリー肌では1日2回、乾燥肌は1日1回など)。
洗顔料をしっかりと泡立てて洗うことが大切です。また、肌タイプに合った石鹸を使用しましょう。乾燥が気になるときには、洗顔料の使用を控えましょう。
メイクをしているときはクレンジングを使い、ダブル洗顔を行います。ふきとるタイプのクレンジング剤は、ゴシゴシこすらないようにしましょう。また、落ちにくいアイメイクや口紅などには専用のメイク落としを使用しましょう。
毛穴の汚れやざらつきが気になるときには、酵素などが配合された洗顔パウダーが便利です。
落としにくい古くなった角質を、酵素は力を入れずに落とせます。
手をきちんと洗い、ヘアバンドなどで髪が落ちてこないようにしましょう。
手をぬるま湯でぬらし、空気を入れる感じで、洗顔料を十分に泡立てましょう。
泡タイプの洗顔料も便利です。
泡をころがし、円を描く感じで力を入れずに洗いましょう。
洗顔の順番も大切!
1.額 2.こめかみ 3.眉 4.鼻 5.目のまわり 6.頬 7.口のまわり 8.あご 9.首すじ
の順番に洗いましょう。
こめかみ、あご、首すじなどにすすぎ残しがないよう、きちんと洗い流しましょう。
やわらかいタオルで、こすらず、上から軽く押さえるようにふきましょう。
乾燥しがちな肌を、うるおいで満たしましょう
洗顔後は水分や保湿成分が肌に最も浸透しやすいタイミングです。放っておくと、どんどん水分が失われていきます。すぐに化粧水や乳液、保湿クリームなどで保湿を行いましょう。
洗顔で肌を清潔にした直後に、適量の化粧水を手のひらになじませた後、顔を包み込むようにやさしくなじませましょう。
皮脂がつくられるまでには時間がかかるため、化粧水で補給した水分は、やがて蒸発してしまいます。蒸発を防ぐため、化粧水の後に、乳液や保湿クリームで油分の膜をつくります。適量を手のひらにとり、顔全体にゆきわたるようにのばしてください。
肌がデリケートな状態のときは、手のひらに広げて肌を軽く押さえるように、やさしくなじませることを心がけましょう。コットンを使いたいときは、力を入れ過ぎたり強くパッティングしたりなど、刺激を与えないように気をつけましょう。
敏感肌の方にとって、保湿は3大保湿因子をおぎなうための大切なステップです。セラミドなどの3大保湿因子類似成分が入った化粧水・乳液・保湿クリームなどで、バランスよく補給することを心がけましょう。また、肌の乾燥による小ジワをケアできる保湿クリームなどでしっかり保湿することで、小ジワを目立たなくすることもできます。
紫外線ダメージから肌を守りましょう
紫外線(UV)を浴び続けると、シミ・黄み・くすみ・乾燥の原因となることもあります。地上に届く紫外線は波長の長さによってA波、B波に区別されます。
シミやシワの原因になります。一番波長が長く、真皮まで到達します。雲やガラスも通り抜けるため、曇りの日や室内でも対策が必要です。
日焼けによる炎症の原因になります。
UVプロテクト製品には、PAやSPFという日焼け止め効果の指標※が表示されています。生活シーンに合わせて上手に使いわけましょう。
※紫外線防御指数
紫外線防御指数を正しく満たすためには、1cm2あたり2mg塗る必要があります。クリームタイプで顔に塗る場合は、パール粒2個分が目安です。しかし、実際はその1/4程度しか塗られていないようです。正しい量を使用しましょう。
また、こまめに塗り直すことも必要です。
敏感肌の方の中には、紫外線吸収剤配合の日焼け止めクリームにより、赤くなったりピリピリしたり、かぶれを引き起こす人がいます。
紫外線散乱剤のみで作られた「ノンケミカル」がおすすめです。
●アトピー体質の方は、肌が乾燥して、バリア機能が低下しています。
●洗顔は低刺激性の洗顔料で、よく泡立てて、やさしく洗いましょう。皮脂を落とし過ぎないよう、皮脂をとる力がマイルドにコントロールされている洗顔料がおすすめです。
●汚れとともに、洗顔料そのものも十分に洗い流しましょう。
すすぎ落ちのよい洗顔料が便利です。
●乾燥や病変部が気になる場合には、洗顔料は使用せず、クレンジングオイルで汚れを落とし、刺激を感じない気持ちよい温度で洗い流いましょう
●洗顔後は、保湿性に優れたタイプの化粧品でしっかり保湿しましょう。
●症状が出ていないときも、自分の肌質に適切なスキンケアでバリア機能をキープしましょう。
●新しい化粧品を使うときは、自分で行えるパッチテストとして腕の内側など、観察しやすい部位に10日前後、毎日同じ部位に塗布して反応をみましょう。
●塗布後にブツブツや赤みが出た場合は、パッチテストを受けるべきかどうか皮膚科専門医に相談して、可能な範囲で原因の検索に努めましょう。
●洗顔をするときは、肌質にあった洗顔料ですすぎ落ちのよい製品を選びましょう。洗浄後はやさしく洗い流し、清潔な状態を保つことが重要です。
●乾燥、刺激感が強いときは洗顔料を使用せず、クレンジングオイルで化粧や汚れを浮かせてとり除き、ぬるま湯や水で洗い流すようにしましょう。違和感がある化粧品は一旦中止し様子を見ますが、よくならなければ皮膚科受診を検討しましょう。
●過剰な皮脂を洗い流し、不要な角質を取り除いて肌を清潔に保つことがもっとも大切です。清潔な手で、洗顔料を用いて、朝晩の1日2回、やさしく洗顔しましょう。
洗顔料は肌の状態に合わせて選びますが、オイリー肌でも脱脂力の強すぎる洗顔料でこすり過ぎるとニキビがかえって増えてしまうことがあります。
●部分によってタイプの違う混合肌(Tゾーンは脂性なのに、Uゾーンはカサつくなど)の方は、Tゾーンは余分な皮脂を落とし、Uゾーンは洗顔後の保湿をしっかり行うといった、肌状態に合わせたスキンケアが必要です。
●紫外線でニキビは悪化しますから、適切なサンスクリーン、ファンデーションを選ぶことが大切です。
●スキンケア製品やUVプロテクト製品はノンコメドジェニックテストを行い、ニキビの初期段階であるコメドの原因になりにくい製品であることが確認されている製品があります。
ファンデーションはオイルの少ないパウダータイプもよいでしょう。
●脂漏性皮膚炎では、皮脂分泌バランスが乱れやすいため、スキンケアが難しい方が多いようです。皮脂が過剰に分泌している場合は、洗顔で皮脂を洗い流すことや、肌を清潔に保つことが重要で、洗顔後の保湿も大切です。
●皮膚を強くこすって傷つけると、かえって皮膚炎を悪化させるため、ゴシゴシこすることはいけません。洗顔料をよく泡立てて洗いましょう。
●低刺激性の洗顔料やシャンプーを使用し、丁寧に洗います。
●洗顔料やシャンプーが皮膚に残らないように、きれいに洗い流すことも大切です。
●脂漏性皮膚炎のかゆみは常在真菌(健康な体にも存在する菌類)が関与している場合もあり、抗真菌剤配合の洗浄剤でよくなることがありますので、皮膚科専門医に相談しましょう。
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