加齢による皮ふトラブルの原因や清潔ケアの方法、入浴できない時のらくらく清潔法、乾燥肌の予防ケアなどご家庭でできる大人のためのスキンケア方法についてお話していただきました。
高齢者は、加齢によって皮脂の分泌が減り、水分を保つ力も低下するため、乾燥肌になりがちです。乾燥してきめが粗くなった皮ふは、細菌・真菌、ほこりなどから体を守る「バリア機能」が失われた状態。外部からの刺激によって、湿疹・かゆみなどが起こりやすくなっています。
皮ふのバリア機能の低下だけでなく、体力や抵抗力の弱さ、特定の病気や薬物が皮ふトラブルを引き起こすこともあります。
清潔の基本といえば入浴。寝ていることが多くても、皮ふは汗や新陳代謝で汚れています。体調や季節にもよりますが、週に2回は入浴を心がけましょう。入浴は、皮ふトラブルの予防・進行抑制のためにも大切です。
患部のまわりにドーナツ状に垢がたまって過角化(皮ふが硬くなる)すると、真菌に感染しやすい状態に!
在宅介護で入浴ケアが難しい時は、部分浴や体を拭く清拭をするとよいでしょう。
指の間は汚れがたまりやすいので、しっかり洗いましょう。
体を拭く清拭には、皮ふの汚れを落とし、清潔を保つことができるのはもちろん、他にもたくさんの効果があります。
清拭には、いくつかの方法があります。それぞれの特徴を知り、介護する人・される人双方にとって、なるべく負担のかからない方法を選ぶことが理想的です。
温かいおしぼりを作るときは、火傷の予防にゴム手袋をすること。ぬるま湯でしぼったタオルをビニール袋に入れて、電子レンジで温めるのも方法です。
石鹸はよく泡立ててから使うこと。最近は、便利な泡タイプの石鹸もあります。皮ふに洗浄成分が残らないように、よく拭き取ることが大切です。その際は、ゴシゴシこすらないよう注意しましょう。
体の汚れを拭き取る清拭剤には下記のようなものがあります。用途によって選ぶとよいでしょう。
お湯で液を薄め、しぼったタオルで拭く「液体清拭剤」や、泡を体に伸ばしてから拭き取る「泡状清拭剤」などがある。石鹸に比べ短期間で清拭できるため、介護する人の負担が少ない。とくに「泡状清拭剤」はお湯を使わないので、衣類やシーツを濡らしてしまう心配もない。
お湯のいらない泡状のシャンプー。泡をつけたブラシでブラッシングするなど、本人にも簡単にできる。
皮ふへの刺激をおさえたアルコール(消毒薬)成分未使用のものや防臭効果のあるものなど。洗顔やおむつ交換時は、アルコール未使用のものがおすすめ。
用意するもの:液体洗拭剤、バケツ、バスタオル、タオル、ゴム手袋、ビニールふろしき
1.キレイなバケツに60度のお湯を入れ、液体洗拭剤を溶かし、タオルを何枚かしぼる。
※お湯が熱いので、ゴム手袋などをつけましょう。
タオルを広げ、湯気を払って熱過ぎないことを本人に確認して、胸、お腹、腕の上にのせる。
2.上からビニールふろしきをかぶせ、保温のためバスタオルなどをかけて、5~10分待つ。
※この間、頭部清拭や洗顔をします。
3.バスタオルとビニールふろしきをめくり、体にのせてあったタオルで汚れを丁寧に拭き取る。
※皮ふがふやけて汚れが取れやすい状態なので、ゴシゴシこすらないようにしましょう。
その後、乾いたタオルでから拭きする。
4.横に向かせ、背中を同じ手順で清拭する。
5.同じ手順で、足を清拭する。
※体が冷えないよう、清拭の済んだ上半身にはバスタオルをかけてあげましょう。
6.最後におむつまわりを清拭する。
用意するもの:泡状洗浄剤、バスタオル、タオル、蒸しタオル
1.清拭剤の泡を手に取り、指先から手首に向かって伸ばし、指の間にもまんべんなくつけてマッサージする。次に、手首から肩までマッサージしながら伸ばし、タオルで拭き取る。
2.清拭剤の泡をタオルに適量のせ、胸腹部にまんべんなく伸ばす。腹部のマッサージは「の」の字を書くように行う。バスタオルを胸腹部にのせるようにして体を包み、水分を拭き取る。
3.足も手と同じように、指の間にまんべんなく泡をつけてマッサージして拭き取る。足首からももの方へとマッサージしながら泡を伸ばしていき、拭き取る。
※ひじやひざ、かかとの角質は、蒸しタオルで拭くときれいに取れます。
4.体を横に向かせて、背中に泡を伸ばし、拭き取る。
※蒸しタオルを使った場合は、褥瘡(じょくそう)予防のため、皮ふに水分を残さないよう最後に乾いたタオルで拭きましょう。
ただでさえ加齢によって皮ふが乾燥しがちな高齢者ですが、間違った入浴法によって、さらに乾燥を悪化させていることが少なくありません。正しい入浴のポイントを覚えておきましょう。
皮脂を落とし過ぎないように洗浄力がコントロールされているので、おすすめです。
熱過ぎ、長過ぎは、皮脂の落とし過ぎやかゆみの原因に!
手軽に全身の保湿ができるので、入浴後の乾燥予防や手が届きにくい背中などの保湿にたいへん便利です。
皮脂の分泌や水分保持力が低下した高齢者の肌には、保湿剤で乾燥する前にケアすることも効果的。皮ふが薄く敏感になっていることも多いので、低刺激性かどうかなど、きちんと確認して選びましょう。
保湿剤は、こまめに、しっかり塗ることが大切です。とくに入浴後は、角層がやわらかくなり、肌の水分浸透・吸収力が高まっているので、保湿に最適なタイミングです。
皮ふには、そもそも3つの働きからなる「バリア機能」が備わっています。保湿のポイントは、その働きを補うように心がけること。それぞれの働きと、働きを補う成分を知っておきましょう。
スクワランなどの皮脂類似成分(油脂成分)は皮脂膜を強化し、水分の蒸発を防ぐ。
細胞間脂質のひとつセラミドは、水分保持機能を高め、うるおいを保つ。
アミノ酸系成分などの天然保湿因子は、角層に水分を補給する。
高齢者の皮ふのかゆみの原因は、乾燥以外の可能性も。
正しいスキンケアをするために、一度専門医に相談するとよいでしょう。
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