Aさん「帰宅した瞬間、トイレに間に合わなくてちびってしまった!」
Bさん「ちょっと咳き込んだら、下着がびっしょりになって恥ずかしい!」
実は、40歳以上の女性の約3人に1人が、このような尿もれを経験しているといわれています。
私のクリニックでも、婦人科検診やホルモン治療中の方、婦人科疾患を心配して受診された35歳以上の全ての患者さんに問診を行ったところ、26.4%に「尿もれあり」という結果を得ました。つまり、尿もれを自覚しているのに診察時に訴えもせず、ほったらかしにしているということがわかったのです。
尿もれには大きく2つのタイプがあります。
Aさんのタイプは「切迫性尿失禁(過活動性膀胱)」といい、突然起こる強い尿意により、我慢できず尿もれを起こしてしまう病態です。ホッとした瞬間や、冷たい水に触れたり、水の流れる音を聞いてトイレを連想し条件反射で尿意を感じることもあります。
主な原因は、加齢や血流障害によって、脳と膀胱の連携がうまくいかなくなるためだと考えられています。脳から「我慢しなさい」と指令を出されても、膀胱の筋肉が反応せず収縮してしまうことで尿もれが起こります。これを「過活動性膀胱」といいます。健康な状態であれば、脳からの指令がきちんと伝わり、膀胱に尿が溜められる上、筋肉の収縮により正しく排尿が起こります。「過活動性膀胱」では、膀胱が過剰に収縮しコントロールを失った状態に。
長く放置すると「頻尿」となり、加齢によりさらに悪化していくこともあるのです。
一方、Bさんのタイプは「腹圧性尿失禁」といい、咳やくしゃみ、大笑い、重いものを持つ、縄跳びやジャンプなど、お腹に力が入ったときに起こる尿もれです。
主な原因は、骨盤底筋のゆるみと尿道括約筋の機能低下で、女性は特に出産をきっかけに発症することが多いのです。妊娠、出産で、骨盤底筋が大きく引き伸ばされ損傷が起こるからです。また加齢により筋肉量が減少したり、肥満や慢性便秘などの生活習慣でも起こることがわかっています。
お腹の一番底を支えている骨盤底筋がゆるむと、膀胱と尿道が下がって尿道の角度が変わり、尿道が開きやすくなります。さらに尿道括約筋の機能が低下することで、尿道を締める力も弱くなります。ここにちょっとの腹圧がかかるだけで容易に尿道が開き、絞める力も弱くなり尿もれが起こるのです。
それでは、尿もれのタイプ別診断をしてみましょう。
いかがでしょう。
もしもあなたに該当する箇所があれば、これから対策をとっていきましょう。
尿もれを感じている女性の約8割が腹圧性尿失禁、約半数が切迫性尿失禁といわれています。また両方が重なっている約3割が「混合性尿失禁」となります。更年期を過ぎるころから女性ホルモンの低下に伴い、腟や外陰部の萎縮も重なり、尿トラブルも増えてきます。
症状が軽いうちなら薬など使わず、骨盤底筋トレーニングだけで8割が改善するというエビデンスがあります。年齢や出産経験を問わず、骨盤底筋を意識することで、尿もれの予防だけでなく、良い姿勢にもなり見た目年齢も若々しくなり骨盤内の血流も改善して便秘解消につながる可能性もあります。
具体的には、呼吸を止めずお腹の力を抜いてリラックスした状態で、骨盤底筋を恥骨の方向へ引き寄せるイメージで「絞めて、緩める」を5秒間ずつ繰り返してみてください。
カフェインやアルコールは利尿効果があるのでなるべく控えること。また、唐辛子やワサビ、からしなど刺激物も控えめに。また便秘によって直腸が拡張すると膀胱を刺激し、排便時に強くいきむことは骨盤臓器脱のリスクにもなるので、食事や運動で解消するようにしましょう。
「尿もれが心配だから」「下着を汚すのが嫌だから」と、いつもつけている方がいます。尿もれパッドを長時間つけ続けていると、安心感から尿意を我慢する意識が薄れ「ちょこっとモレ」にも気づかなくなります。また、ムレからかぶれやにおいの原因にもなります。
「どうしてもトイレに行けない時間だけにする」と決めて、長時間の装着は避けましょう。そして、デリケートゾーンといわれる外陰部のケアも大切です。専用のソープなどを使い、ゴシゴシこすらずに指の腹でやさしく洗ってください。さらに、ジェルやオイルなど、デリケートゾーン専用ケア製品も数多く発売されています。清潔にした後は、保湿やうるおいのケアもおすすめします。
女性にとって尿もれは、誰でも経験するありふれたものである一方で、生活の質を落としてしまうやっかいな病態です。
たとえ症状があったとしても、早めに対処することで軽快改善につながることもわかっています。
治療法には、内服や貼り薬などの薬物療法、磁気、電気刺激法、膀胱訓練、ボトックス膀胱壁内注入法、手術などがあります。症状が続く場合は我慢をしないで、泌尿器科や婦人科を受診しましょう。
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