種瀬啓士先生

がん患者さんの肌にトラブルがないときのスキンケア

監修
国立がん研究センター中央病院
アピアランス支援センター センター長
公認心理師・臨床心理士
藤間 勝子 先生

がん治療では皮膚にも様々な影響が生じます。分子標的薬によるざ瘡様皮疹や爪囲炎、マルチキナーゼ阻害薬の手足症候群、放射線治療による放射線皮膚炎など、特別な注意やケアが必要な場合は、医師や看護師からスキンケアの方法について説明がありますし、こちらのコラムの中にも西澤先生や松原先生、祖父江先生のお話※がありますので是非参考になさってください。

がん治療中の肌のトラブル

ただ、多くの患者さんが迷うのは、何も説明や指示がなく、自分の肌もとりあえず問題がない、そのような時ではないでしょうか。インターネット上では、がん患者の肌は敏感になるとか、しみやくすみがでてくる、乾燥するなど色々な情報が流れていて、「何か特別なことをしなければいけないのでは?」と怖くなる方も多いです。
特別な説明や指示がない時は、基本のスキンケアである「清潔にする」「保湿をする」「刺激を避ける」を守って、今まで通りのケアをすればよいと思ってください。「清潔にする」に関しては、顔や身体、髪を特別に何度も洗わなければいけないというわけではありません。治療前と同じく、洗い残しやすすぎ残しに注意し丁寧に行ってもらえばよいだけです。体調が悪い時はお風呂をスキップしたくなる時もあるでしょう。頑張りすぎず臭いやべたつきが気にならない程度に清潔を保てばよいと考えてください。

また、抗がん薬治療中には皮膚が乾燥しやすくなる方も多いです。ニキビ用やオイリースキン用のスキンケアを使っていた方は、保湿力の高い製品に切り替え、それ以外の方はまずは今までのスキンケア製品でケアをし、「今までより肌が乾くな」「物足りないな」と思ったら、より保湿力の高い製品に切り替えていけばよいでしょう。「刺激をさける」については、具体的にどうしたらよいのかわからない、という質問もよくあります。こちらについては「肌が真っ赤になるようなこと」は避けてくださいと説明しています。
例えば、ゴシゴシこする・日焼けする・キツイ下着で肌がこすれている・肌に貼ったテープを勢いよく剥がすなどです。肌が赤くなったり、痒くなったりするようなことを避ければよいと思えばわかりやすいかと思います。

がん治療中のスキンケア

さて、ケアに使用する製品について「敏感肌用」「低刺激」「オーガニック」など肌に優しい印象の表記がされたスキンケアは数多くあり、どのように選べばよいのか判らないと相談もよくあります。
「敏感肌用」や「低刺激」などの化粧品の基準は製造販売会社により様々です。中には大規模な実使用試験や敏感肌の人を対象とした臨床試験、アレルギー試験、ノンコメド試験などを実施している場合もありますし、ムズムズ感やピリピリ感といった感覚刺激に対するスティンギングテストを実施している場合もあります。このような試験が行われていることは安心材料の一つになると思います。ただし、全ての人にトラブルが出ないことを保証しているわけではありませんので、肌にブツブツがでたり、赤み・かゆみがでるなど異常が生じたときには、かかりつけの病院に相談するか皮膚科を受診するようにしましょう。

また、タキサン系薬剤やフッ化ピリミジン系の薬剤による治療では皮膚がくすんだり黒ずんだりすることがあります。このような時に「美白化粧品」を使いたいとのご相談もありますが、治療中に使用してもほとんど効果が期待できません。もし、肌色を改善するために自分でできることを何かしたいとお考えなら、肌に影響のある薬剤による治療が終わってから試すようにしてください。治療中はメイクアップを工夫することで目立たなくするとよいでしょう。

スキンケアやヘアケアには、清潔を保つという側面と共に、心地よさや感触の良さを楽しみ、自分を癒しながら元気づける側面もあります。大変ながん治療をこなしているご自分を慈しむ方法として、スキンケアやヘアケアの時間を上手に使ってください。

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