仲 弥 先生

人ごとではない身近な水虫

仲皮フ科クリニック
院長
仲 弥 先生

かゆくなくても要注意、5人に1人は水虫!?

 過去に行われた日本臨床皮膚科医会の調査で、全国の4万人以上の皮膚科患者に足を見せてもらい、水虫にかかっているかどうか調べたことがあります。その結果、5人に1人の割合で水虫が見つかったのです。しかも、水虫が理由で来院した人は除いて検査をしたので、水虫の自覚なしに保有している人が5人に1人はいるということになります。水虫はそれくらいありふれたものなのです。

 では、自覚がなく保有している人が多いのはなぜなのでしょうか。人間の皮膚は水虫を引き起こす白癬(はくせん)菌を異物とみなし、それを排除しようと抵抗し、水ぶくれや赤み、かゆみなどの反応を起こします。これが急性型といわれる水虫です。
 一方で、長い月日が経ち、急性型の水虫を毎年繰り返す様になると、人間は菌と共生するようになり、お友達になってしまいます。その結果、赤みもかゆみも出なくなり、水虫だという自覚が全くなくなってしまうのです。これが慢性型の水虫です。年齢を重ねるにつれて代謝が落ちていくので、慢性化しやすくなり、高齢者には慢性型の水虫が多いのです。

年齢が高くなればなるほど、水虫の保有率は上がります!しかし、若い人も注意が必要なのです

 年齢を重ねるほど、水虫の保有率は上がります。
 一方で、若い人も注意が必要です。菌はあたたかくて湿ったところが大好きなので、一般的に、足の指が細くて付け根の部分があいている人は水虫になりにくく、ソーセージ型でポチャッとした人が水虫になりやすいのです。しかし、若い人、特に若い女性はパンプスやストッキングを日ごろから身につけ、靴の先で足をつぼめてしまうことで、人工的に足の指がくっついた状態を作ってしまいます。加えて長時間、靴やストッキングを履くので、蒸れてしまい、菌にとっては最高の状態になるのです。ブーツは特に蒸れます。ブーツの中は湿度が100%なので、要注意です。こまめにぬいだり、靴を変えたり、はき回しをすることが重要です。

水虫にならないためにはどうしたら良いの?

 水虫のもとになる白癬菌は、日常の環境にたくさん潜んでいます。しかし、たとえ菌が足についても、すぐに感染するわけではなく、1日くらいかけて、ゆっくりと角質の中に入っていきます。そのため、菌が入る前に足を洗ってしまえば良いのです。最低1日1回洗っていれば足に菌がついても水虫になることはありません。
 また、水虫菌は、角質の中でしか生きていけません。足の健康のためにも角質は減らしておいた方が良いのですが、摩擦を加えるのは逆効果です。やすりや軽石なども、こするという行為がよくありません。人間の皮膚は、こすっているとどんどん厚く硬く黒くなるので、注意が必要です。また、こすることで傷がつくと、菌が中に入りやすくなってしまいます。傷があることで、半日で入ってきてしまう可能性もあります。そのため、目に見えないような小さな傷もできるだけつけないように気をつけ、1日1回の足の洗浄は、良く泡立てた石鹸を用いて、手でやさしく洗うようにしましょう。

家族の中に水虫の人がいる場合は?

 家族の中に水虫の人がいる場合は、菌と接触する機会が増えるので、スリッパや足ふきマットを使い分ける必要があります。できれば水虫の人にはマイスリッパを使用してもらいましょう。靴下をはいていれば大丈夫と思うかもしれませんが、綿や絹など目の粗いものは菌が入ってきてしまいます。足袋やウールのような目の細かいものでしたら大丈夫です。
 また、菌は裸のまま床などに落ちていると、すぐ死んでしまいますが、垢の中に潜んでいると年単位で生きてしまうので、掃除機などで垢を吸い取るなど掃除をこまめに行い、菌が生きにくい環境を心がけましょう。

水虫かもしれない方は皮膚科へいきましょう

 通常の急性型の水虫は、たいてい1か月程度で完治が可能です。ですから、水虫になってしまった場合、もしくは疑わしい場合には、放置せず、皮膚科で見てもらうようにしましょう。
 また、民間療法も菌に対する効果が全くないというわけではありませんが、通常百害あって一利なしです。たとえば、酢が水虫に効く、などという話があり、実際、酢には菌の増殖を抑える作用があります。しかし、現在の水虫薬にはその1万倍の効果があるといわれています。酢に1万回つけるのと、薬を1回塗るのとどちらがいいですか、と患者さんに聞くと、たいていの方は薬を選びます。ニンニクも菌の増殖を抑える作用がありますが、皮膚につけるとかぶれてしまうので、実用的ではないですよね。 水虫にならないように予防し、水虫になったら放置せずに治療するようこころがけましょう。

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