「何となく体調が悪いな」と感じるときや、疲れがたまったときなど、ふと鏡をみると「肌が荒れているな」と感じることはありませんか?
肌あれの症状は、「肌にツヤがなく、何となく肌の調子が悪い」といったものから「疲れると肌がカサついて、吹き出物や赤みが出てしまう」など、人によってさまざまです。しかも、ちょっとしたきっかけで症状を繰り返してしまうという方も少なくありません。
繰り返してしまう肌あれの原因は一体何なのでしょうか?
ここでは、肌あれに悩む方のために、肌あれの代表的な症状とよくある原因、肌あれが起きてしまったときの対処法などについて詳しく解説します。
一口に「肌あれ」といっても、その症状にはいくつかのタイプがあります。また、おでこには吹き出物があるのに、頬は乾燥するなど、顔の中でも複数の症状が同時に出ることも珍しくありません。
まずは、「肌あれ」の時にあらわれやすい代表的な症状をみていきましょう。
肌がうるおいを失ってカサカサとして、ツヤを失った状態です。洗顔後につっぱった感じが強くなったり、乾燥が進むと白い粉をふいたりします。アトピーなどの生まれつきの体質や肌のバリア機能が低下し、肌表面に水分を保持できない状態になっているなどの内部環境要因と外気が乾燥する冬場やエアコンによる空気の乾燥などの外部環境要因で乾燥症状が出やすくなります。
いわゆる“ニキビ”のことです。アクネ菌の増殖やホルモンバランスの乱れ、ストレスの影響などによって、毛穴に古い角質や皮脂が溜まって炎症が起きます。顔の中でも特に皮脂の分泌の多いTゾーンや、口周りにできやすく、一度に複数の吹き出物ができることもあります。
空気の乾燥や布による摩擦、アレルゲンや日光などの外的刺激に負けて、皮膚の中で炎症が起きている状態です。刺激に反応して皮下の毛細血管が拡張するので、皮膚の薄い方は、拡張した血管が透けて赤みが残ったり、赤い色ムラができたりします。
盛り上がりのあるブツブツがたくさんできます。湿疹の多くは、外的刺激に反応して起きる「接触皮膚炎」、いわゆる「かぶれ」によるものですが、原因がわからないものもあります。かゆみや痛みなどの症状を伴うこともあります。
鼻の頭や小鼻、頬などの毛穴が開いて肌の表面に凹凸ができて、次第に肌がゴワゴワと硬くなってきます。乾燥やホルモンバランスの乱れなどの原因によって皮脂が過剰に分泌され、皮脂の出口が大きくなることによって毛穴が目立つようになってきます。
肌あれは、皮脂の分泌が多いおでこ、鼻、顎などのいわゆるTゾーンや、乾燥や摩擦による刺激を受けやすい口周りに出やすいといわれています。
体調が優れなかったり、疲れがたまっていたりするときに自覚しがちな肌あれですが、直接的な原因は特定できないことがほとんどです。ただ、いくつかの原因が重なり合うことで、肌の不調としてあらわれると考えられます。肌あれに関係する5つの主な原因を詳しくみていきましょう。
ターンオーバーとは、日々繰り返されている“肌の生まれ変わり”のことです。
私たちの肌は、たくさんの細胞が、まるでミルフィーユのように層状に重なり合った構造をしています。
その最下層では、毎日新しい肌の細胞が生まれ、上へ上へと押し上げられるとともに、肌表面にある古い細胞が、垢となって剥がれ落ちることによって、徐々に入れ替わっています。通常、このターンオーバーは、およそ4週間のサイクルで繰り返されているのですが、何らかの影響によってこのターンオーバーのサイクルが乱れ、肌の生まれ変わりが早まったり、逆に遅くなったりすることがあります。
ターンオーバーのサイクルが早すぎると、未熟な細胞が外気にさらされることになり、乾燥や赤み、かぶれなどのトラブルが起きやすくなります。一方、ターンオーバーのサイクルが遅れると、古い細胞がうまく排出されないために、余分な角質が溜まって白い粉をふいたり、肌表面がゴワゴワと硬くなったりします。
このようなターンオーバーの乱れは、「肌のキメが整わない」、「肌ツヤがない」といった肌あれの症状として肌にあらわれるようになります。
私たちの肌の調子は、常にホルモンバランスの影響を受けています。したがって、体調変化やストレスなどによってホルモンのバランス乱れると、肌あれの症状としてあらわれることがあります。
まず男性の場合、男性ホルモンが活発になると、皮脂の分泌を盛んにし、皮脂のバランスがオイリーになります。そして毛穴に皮脂が溜まってニキビなどの肌トラブルが起きやすくなり、肌あれにつながることがあります。
一方、女性の場合は、生理前後のホルモンバランスの変動が肌あれとしてあらわれやすいといわれています。特に、生理前は、皮脂の分泌を促進する「黄体ホルモン」という女性ホルモンが増えることで、顔がオイリーになり、皮脂が詰まるなどの肌トラブルが起きやすく、「肌が荒れている」と感じやすいのです。
「睡眠」「食事」などの生活習慣の乱れや、過剰なストレスも肌あれの原因になります。基本的に私たちの身体は、夜眠っている間に1日のダメージを修復しています。しかし、十分な睡眠がとれずに、肌の修復に必要な栄養素が不足した状態が続くと、肌の修復が追いつかず、肌あれの症状が出るようになります。また、過剰なストレスにさらされる生活は、ホルモンバランスや自律神経の働きを乱し、肌のターンオーバーにも悪影響を及ぼします。
そのほか、喫煙・飲酒などの習慣も肌あれの原因になります。喫煙は、毛細血管の血流を滞らせたり、肌の代謝に必要なビタミン類の働きを妨げたりするため、肌に良くありません。また、飲酒も肌の脱水を引き起こしたり、炎症を促進させたりするなどの影響を及ぼし、肌あれの原因になりやすいので注意が必要です。
私たちの肌には、身体の中と外とを隔てる機能、「肌のバリア機能」が備わっており、肌をみずみずしく保つとともに、乾燥、温度変化、ほこり、摩擦、アレルゲン、細菌やウイルスなどから肌を保護しています。
この肌のバリア機能を担うのは、肌の一番表面にあるわずか0.02mmの表皮という組織で、「角質細胞」と「天然保湿因子(アミノ酸や尿素など)」、「角質細胞間脂質(セラミドや脂肪酸など)」などのうるおい成分、そして皮脂と汗から作られる天然の保湿クリーム「皮脂膜」のコーティングがバリアを形成しています。
しかし、過剰な摩擦によって角質層が剥がれ落ちてしまったり、あるいは皮脂の分泌の過不足によって皮脂膜のコーティングが崩れてしまったりすると、肌のバリア機能が低下し、乾燥や肌あれなどのトラブルが起きやすい状態になります。肌のバリア機能は、摩擦や洗顔のしすぎなどの物理的刺激だけでなく、空気の乾燥や紫外線などの環境からの刺激によっても低下することがあります。
肌あれを起こしてしまったときは、肌のターンオーバーを整え、バリア機能を正常化させることが何よりも大切です。肌のバリア機能を回復させ、キメの整った肌へと導くためにはどうすればよいのか、詳しくみていきましょう。
肌の健康を保つには、栄養バランスのとれた食事を摂り、身体の内側から調子を整えることが大切です。特に、肌は日々代謝を繰り返しており、新しい細胞を育むためにたくさんの栄養素を必要としています。タンパク質、ビタミン、ミネラル類など、肌が必要とする栄養素が不足しないよう心がけましょう。糖質や脂質の摂りすぎや、カフェイン、香辛料などの摂取は、皮脂のバランスを乱し、ニキビや肌あれの原因になりやすいので注意しましょう。また、乱れた食生活による胃腸への負担は、肌の不調としてあらわれてしまいます。腹八分目を心がけるとともに、日々の食事に食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れて腸内環境を整えることも大切です。
朝晩の洗顔で、肌をゴシゴシ洗ったり、タオルで擦ったりするなどの刺激が、肌にストレスを与えていることがあります。洗顔するときは、あらかじめ洗顔料を手のひらで良く泡立ててから、泡で顔を包み込むようにやさしく洗うようにしましょう。
熱いお湯を使って洗顔をすると、必要な皮脂まで溶け出してしまう恐れがあります。皮脂によるコーティングを守るためには、ぬるま湯を使って洗顔するのがポイントです。肌を乾かすときも、タオルで強く擦るのは厳禁です。清潔なタオルをそっとあてて余分な水分を吸い取るようにし、摩擦による肌へのストレスを軽減しましょう。
詳しくは、「洗顔が肌あれの原因になる?洗顔時のNG行動と正しい洗顔方法」をご覧ください。
洗顔の後は、肌がふやけたようになっており、最も無防備な状態です。角質層の隙間から水分やうるおいが抜けだしやすいため、何もケアをせずに放置していると、どんどん乾燥が進んでしまいます。このような事態を防ぐためには、洗顔後、清潔なタオルで肌表面の余分な水分を取ったら、すぐに保湿ケアをすることが大切です。まず、化粧水でしっかりと水分を補い、次に必要に応じて美容液や乳液などで肌に栄養分を与えます。最後は、全体にクリームを塗って、乾燥を防ぎ、肌にうるおいを閉じ込めるようにします。保湿ケアをするときも、顔をパンパンとたたくような激しいパッティングは避け、手のひらでやさしく押し当てるようにして肌へのストレスを軽減するようにしましょう。
肌あれを起こしているときは、さまざまな刺激に対して肌が敏感になっています。普段使用している化粧品の成分を確認し、肌にとって余分な刺激になっているものがないか見直してみましょう。何気なく入っている香料や着色料などの添加物が刺激になってしまうこともあります。肌あれが気になる場合は、低刺激性のスキンケア化粧品を選ぶようにし、肌へのストレスを低減していきましょう。また、肌あれを予防する成分や、肌に必要なうるおい成分を配合し、正常なバリア機能をサポートしてくれる機能性を備えたスキンケア化粧品を選ぶことも大切です。敏感肌の方向けの製品シリーズや、肌あれにも対応した製品の中から、自分の目的や好みに合ったものを選ぶと良いでしょう。
肌あれを改善し、正常な肌のバリア機能を維持するためには、しっかりと睡眠を取ることが大切です。特に意識したいのは、夜間、22時~深夜2時までの眠りのゴールデンタイムに深い睡眠ができるようにすることです。このゴールデンタイムには、大量の成長ホルモンが分泌され、その働きによって肌のターンオーバーが活発になります。
昼間にダメージを受けた細胞も、夜眠っている間に修復が進み、新しい細胞に入れ替わっていくのです。入眠前には、眠りを妨げるようなスマートフォンやパソコンのブルーライト、カフェインなどの刺激物を避け、早めにベッドに入ってリラックスする時間を設けると、睡眠の質を高めることができます。
眠りのゴールデンタイムを逃さないように、夜更かしは避けて早めに休むようにしましょう。もし寝不足が続いてしまうと、肌のターンオーバーが停滞し、肌の修復が遅れてしまいます。さらに自律神経の働きが乱れるので、皮脂のバランスが崩れてニキビができやすくなったり、肌あれが起こりやすくなったりすることもあります。トラブル知らずの肌を手に入れるためにも、正しい睡眠習慣を身につけましょう。
上記のようにスキンケアや生活習慣を見直しても、肌あれがおさまらない場合や皮膚トラブルによる炎症が悪化した場合は、自己判断せずに皮膚科専門医に相談しましょう。
繰り返す肌あれは、ホルモンバランスの乱れや生活習慣の乱れを反映している可能性があります。その他、毎日の間違ったスキンケアや合わない化粧品を使い続けていることが肌ストレスになり、肌あれを起こしていることもあります。
日々の習慣やスキンケアの内容を見直し、肌のために改善できるところがあれば変えていくことが大切です。正しい生活習慣やスキンケアを継続して、肌のターンオーバーのサイクルや肌のバリア機能を整え、肌あれの起きにくい健やかな肌を育みましょう。
フェイスケア
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