介護care

間宮 直子 様

高齢者のスキンケア

大阪府済生会吹田病院
副看護部長
間宮 直子 様

 高齢者の皮膚の変化の特徴に、汗や皮脂の分泌の減少があります。これにより皮膚のもつバリア機能が低下し、乾燥が引き起こされます(写真1)。また、乾燥が強くなるとかゆみも生じやすくなります。

写真1:皮膚の乾燥
バリア機能が低下することにより体内の水分が保持できず乾燥する。

 加齢により新陳代謝が低下すると、皮膚の弾力性が低下したり、皮膚が薄くなったりします。さらに表面が平坦化して光沢を帯びることもあります(写真2)。このような脆弱な皮膚は傷ができやすく(写真3・写真4)、できてしまうと治りにくいこともあります。

 皮膚のバリア機能の低下に加えて、皮膚やその下部組織などが脆弱になった高齢者は、愛護的なスキンケアという意識をもつことで、皮膚の健康維持や促進につなげることができます。では、どのような意識をもてばいいのでしょうか。

写真2:薄く光沢を帯びている皮膚。
乾燥しやすく、軽微な外力で損傷しやすい脆弱な皮膚である。
写真3:皮膚の掻き傷
乾燥からくるかゆみで生じた掻き傷(掻破痕)。
写真4:皮膚の裂傷
打撲によって生じた皮膚の裂傷(ずれや摩擦で生じた裂傷をスキン-テアという)。

「皮膚の保湿:乾燥から皮膚を守る」

1)保湿剤の塗布
 皮膚が乾燥すると、かゆみだけでなく、滑らかさも失われるため一層傷ができやすくなります。そのため保湿力のあるのびのよいクリームなどを塗布します(写真5)。とくに入浴後の塗布は保湿効果を高めます。

2)入浴時の注意
 熱いお湯での入浴は、皮膚の水分を保持する機能を低下させ、乾燥を助長します。長時間の入浴や、頻回な入浴も避けたほうがよいでしょう。お湯の温度はぬるめにして、保湿成分の入った入浴剤などを使用する工夫も必要といえます。刺激の低い、弱酸性の洗浄剤を使用することも皮膚に優しいケアといえます。

写真5:保湿剤の塗布
毛の流れに沿って優しく押えるように塗布する。保湿成分の入った入浴剤の使用などを検討してもよい。

「皮膚の保護:刺激の除去」

1)強く擦らない
 皮膚のバリア機能を保持し乾燥を予防するためには、強く皮膚を擦らないようにすることが重要です。加齢によってさまざまな機能が低下した皮膚は、優しく愛護的なスキンケアを意識しなければなりません。洗浄剤の泡を利用して、そのクッション性で摩擦刺激の低減を期待する場合もあります(写真6)。

2)皮膚を守る
 手足などの皮膚は、打撲や摩擦で容易に損傷することがあるため、衣類などで保護することが必要となります。とくにむくみがある場合は、皮膚が薄くなっているため注意しなければなりません。また保湿剤によって潤いを保持することも皮膚を守ることにつながります。
 おむつを使用している場合は、蒸れが生じていることが多く、ふやけた皮膚はバリア機能が低下している状態(写真7)です。蒸れによるふやけや汚れによる刺激から皮膚を守るために、撥水性クリームなどを塗布して、皮膚をコーティングすることが必要です。

写真6:泡を利用した洗浄
泡を使って優しく手のひらなどで洗う。
写真7:おむつ内のバリア機能の低下(殿部)
皮膚の乾燥だけでなくふやけもあるため、組織の耐久性は低い状態。撥水性のクリームなどで保護することが必要である。

まとめ

 高齢者の皮膚は「乾燥していること」や「薄いこと」が多いため、脆弱な皮膚であることを意識して「愛護的なスキンケア」を行います。 すなわち高齢者のスキンケアは、バリア機能を保持しながら2次損傷を予防し、皮膚の健康維持および促進することだといえます。

※脆弱(ぜいじゃく):もろくて弱いこと

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