小田 富美子 先生

マスクしているから乾燥しない!は間違い
秋冬もマスクトラブルに注意!

小田ひ尿器科・ふみこ皮フ科
小田 富美子 先生

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、健常人でも全員マスクを着用する環境が続いています。しかしマスクの着用は、夏場にはマスクの内側は高温高湿度となり肌負担は大きく、秋冬には乾燥に加えてマスクの接触、摩擦による刺激が肌トラブルの原因となり、マスクによる肌荒れの患者が増えています。

マスク内の肌状態

一般的にマスクは、着けるだけで敏感肌の方には刺激となります。マスクを着用して話したり、顔の表情筋が動くことで、接触部分に摩擦を生じて、肌は物理的なダメージを受けます。
この状態が続くと、肌バリア機能が低下して炎症や皮膚炎を発症します。ダメージを受けた皮膚は乾燥し、炎症(かさかさやひりひり)をおこします。
また、一般的な使い捨ての不織布マスクは通気性が良くないので、自身の呼気により常に加温、加湿の状態となり、肌温度が約1℃ほど高くなります。肌温度の上昇は肌バリア機能に重要な皮膚内部の水分を蒸発させて乾燥を引き起こすだけでなく、汗と皮脂の分泌を増やし、これらを栄養源とする雑菌が繁殖してニキビができやすい状態になります。
夏場は熱中症対策として、ソーシャルディスタンスが確保できていれば、マスクを外すことが勧められています。一方で、マスクの脱着を繰り返すということは、部分的に入浴、湯上りを繰り返すことになり、肌に負担をかけてしまいます。
秋冬は空気が乾燥しており、健常人であっても皮膚に乾燥を生じることが多く、角層に含有される水分量が低下すると易刺激状態となり、そこにマスク着用による刺激が加わると肌荒れしやすくなります。

マスクによる肌荒れ、ニキビ対策

● マスクの選択、取り扱い

敏感肌の方は、布マスク(綿100%、ガーゼ、横織の手ぬぐい、シルクなど)を着用すると、通気性が良く、表面が毛羽立っていないため肌への摩擦が軽減できます。不織布のマスクを使用する場合は、ガーゼをマスクのインナーに入れて、直接不織布が肌に当たらないようにします。また、顔に合ったサイズのマスクを選ぶと、摩擦を減らすことができます。
マスクを外す際は、顎部にずり下げるのではなく、両手で紐を持ち、肌に摩擦がかからないように外しましょう。

● 適切な洗浄

マスク内は、水蒸気、汗、皮脂、皮膚常在菌、口腔内細菌が混在する環境となるので、適度に洗顔してください。ただし、過剰な洗顔やゴシゴシ洗いはダメージを受けた肌には余計負担になりますので、低刺激石鹸や洗顔フォームを用い、よく泡立てて1日2回洗顔としましょう。直接肌をごしごしと洗わず泡をクッションとして優しくさわってください。タオルでのゴシゴシ拭きも禁物です。洗顔後は忘れずに保湿をしてください。

● 保湿

マスク着用によりダメージを受けた肌は乾燥しているので、保湿をして肌バリア機能を回復させてください。市販のスキンケア製品を選ぶ際は、肌負担の少ない低刺激性の製品で、抗炎症作用を有するトラネキサム酸や保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなど)が配合された基礎化粧品が良いでしょう。
また、ニキビが気になる方には、ノンコメドジェニックの表記がある製品を選びましょう。

● 生活習慣を整える

ご自身の皮膚は食べたもの(成分)で出来ているので、高タンパク、低糖質、ビタミン、鉄、亜鉛などを摂りましょう。これらの栄養分はコラーゲン新生や炎症の抑制など、皮膚の機能に大きく影響しています。ビタミンB群は皮脂分泌を抑制する作用があります。
運動は皮膚の末梢循環血流を上げるので、簡単な「美容」となります。しかしマスクを着用して運動をすると、呼吸がし難くなるので、マスクを着けての運動には注意してください。

お肌にとって負担となるwithマスクの生活はまだしばらく続きそうです。
適切なスキンケアをして上手に過ごして下さい。

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