在宅介護では、肌トラブルが大きな問題となることが多く、毎日のスキンケアが大切です。おむつかぶれや床ずれの予防など、ご家庭でできるおしりまわりのスキンケアについてお話していただきました。
在宅介護がスタートすると、食事や環境など、さまざまな問題が出てきます。その中で、肌のトラブルは大きな問題となることが多く、毎日のスキンケアが大切になってきます。
肌の表面には角質層という細胞の層があり、その外側を皮脂がおおっています。皮脂の膜は水分の蒸発を防ぎ、角質層内では、セラミドなどが水分を保っています。また、外部からの刺激を防ぐバリアとしても働いています。
加齢により皮脂の分泌が減り、角質層の水分を保つ力も低下します。そのため、肌が乾燥し、キメが粗くなり、外部からの刺激を防ぐ「バリア機能」が低下します。また、物理的刺激で傷などもできやすくなり、治りにくくなります。
清潔が保ちにくく、乾燥やかゆみ、カビ・細菌の感染などによる肌トラブルの原因になることも。
血流が悪くなって生理機能が低下したり、抵抗力も弱くなり、床ずれになりやすい。
排泄物の汚れやふやけによる刺激で、おむつかぶれができやすい。
介護はがんばりすぎないことが肝心です。100点満点を目指すのではなく、無理せず、上手にサービスを利用しましょう。
・ホームヘルパー
・訪問入浴介護
・訪問リハビリテーション
・訪問看護 など
・デイサービス
・デイケア
・ショートステイ
・短期入所療養介護
認定を受けると、介護保険が適用され、サービスが1割で受けられます。上記の他、住まいのリフォームや、介護用品のレンタルなどもサービスの対象となります。(対象外あり。詳しくはお住まいの市区町村窓口にお問い合わせください。)
おむつを使うようになると、とくに気をつけたいのはおしりまわりのケアです。おむつかぶれにならないために、その原因を知って、予防に気を配ることが大切です。
バリア機能が低下した皮ふをこすることで、角質層がはがれ、そこに排泄物などの刺激が加わって、おむつかぶれが起きます。また、おむつの中は高温多湿な状態ですので、菌も増殖しやすくなります。
多くの人が清潔にしたいという欲求を持っています。
ご家族に対しても、清潔にしてあげたいという気持ちは強いものです。しかし、洗いすぎることで皮ふのバリア機能を傷つけることもあります。よい状態でを保つためには、清潔にしながら、保護をすることが大切です。
1日に何度も洗浄剤を使って洗うと、皮脂を取りすぎてバリア機能が低下します。使うのは1日1回、あとはやさしく拭き取ります。洗うときも拭くときも、ゴシゴシこすらないよう注意が必要です。洗浄剤は肌にやさしいものを選びましょう。また、カビや菌の増殖を抑えるには、抗真菌成分などが入ったものが便利です。
皮ふがふやけると、バリア機能低下の原因になるので、吸水性の高いおむつを使い、こまめに交換するようにしましょう。
尿や便が皮ふにつくと、それが刺激となっておむつかぶれの原因になるので、直接つかないように、皮ふ保護剤や撥水クリームなどを利用します。
ベッドに寝たきり状態などになったときに、とくに気をつけなければならないのは、床ずれです。悪化すると、全身に問題が起きてしまうので、気をつけましょう。
褥瘡(じょくそう)ともいいます。
皮ふが圧迫されることで血流が悪くなり、皮ふやその下にある組織が死んでしまった状態です。
・ 同じ部分(とくに骨が出ている部分)への継続的な圧迫
・ 皮ふ組織のずれや摩擦
※ずれとは、体を動かすときなどに、皮ふ表面と、皮ふの内部が互い違いにずれることです。
・ 尿や便などによる汚れ
・ 肌の乾燥やふやけなどによるバリア機能の低下
皮ふに赤くなっているところがないか毎日観察しましょう。
肌のバリア機能を保つため、清潔にすること、保湿すること、ふやけさせないことに気をつけましょう。
全身の栄養状態をよくするため、栄養士、医療スタッフなどの指示を受け、栄養管理をしましょう。十分に食事や水分が取れないときは、相談しましょう。
皮ふにかかる力を分散させるため、定期的に体の向きを変えます。骨が出っ張っている部分にかかる力を小さくし、負荷がかかる時間を短くしましょう。
皮ふを強くこすったり、力を加えないように注意しましょう。体を起こすときや、おむつ交換のときは強く引っ張らないようにします。シーツや寝具のしわが圧迫の原因になることもあるので、気をつけましょう。体への負担の少ない寝具や車イスもあります。医療スタッフに相談しましょう。
早めに対処することが大切なので、まず医療スタッフに連絡しましょう。
※赤くなっている部分が圧迫されないように体の向きを変え、
30分後に消えていれば床ずれではない可能性もありますが、医療スタッフには確認しましょう。
床ずれのみに注意が向きがちですが、毎日のケアがとても大切です。圧迫・ずれを避け、体位変換をし、スキンケアや栄養管理を続けましょう。
くり返しできることがないよう、原因を考えてみましょう。原因がわかれば、それを取り除くよう工夫してみましょう。
医療関係者からの
アドバイス
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